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貪る。

 ならばなぜ、彼はこの先に進もうとしないのか。  ベイジルの一物は今やハーフパンツを押し上げ、心待ちにしているというのにロシュは太腿をなぞるばかりで肝心な場所には触れてくれない。  ベイジルは腰を揺らし、さらなる快楽を求める。  下肢にある膨らみに触れてほしいと唸り声を上げて抗議してみても、彼は素知らぬふりだ。  我慢できなくなったベイジルは、ロシュの膨らみに手を伸ばした。直に触れてみて判ったのは、やはり固い一物がベイジル以上に大きく膨れ上がっているということだ。  おそらく、下着の中では彼の一物は赤黒く変色しているだろう。下着の下で身を潜めている彼自身を想像するのは容易い。  ベイジルは空いている方の腕を彼の後頭部に回す。いっそう深くなる口づけに、興奮が高まる。ベイジルは身動ぎながら喘いだ。  もうしばらくこの攻防が続くのかと思いきや、突然ベイジルの身体が浮いた。  しかしそれもほんの一瞬で、気が付けばベッドの上で仰向けになっていた。  どうやら自分はロシュへの誘惑に成功したらしい。彼はベイジルの唇を貪りながら、器用にネクタイを解いていく。  ベイジルも負けじと両腕をロシュの後頭部に回し、薄い唇に吸い付いた。  互いのくぐもった声が室内に溢れる。  リップ音と水音がベイジルの耳孔を支配する。  ベイジルは彼を求め、身をくねらせて続きを強請る。  情熱が高ぶり、頂点に達した時だ。どちらからともなく二人の唇が離れた。

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