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挑戦的な笑み
目の前には美しいロマの彼がいる。彼の赤い瞳からは輝きが失せていた。
これから自分は彼に抱かれる。
ベイジルは実感すると、悦びの嬌声を上げ、従順に身体を開いていく。
ベイジルの行動に欲望の炎が燃え上がったのか、ロシュは獣じみた低い呻るような声を発した。同時にベイジルが着ていたシャツを捲り、下着ごとハーフパンツも下肢から引き抜いた。
一糸も纏わない肢体を露わにされたベイジルを見下ろす赤い目の彼がいる。
口内に溜まった唾液を飲み込んだらしい。彼の喉仏が動いた。
間違いなくベイジルを欲しがっている。
今にも噛みついてきそうなほど、貪欲な肉食獣にも似た姿を見せるロシュだが、けれどもベイジルは少しも不快には思わない。
自分でも不思議だと思うが、彼に組み敷かれても少しも不快はないし、恐怖も感じない。それはおそらく、子供たちと戯れているあの背景があったればこそだとベイジルは思った。
ベイジルは、自分はこんなに美味しいのだとロシュにアピールするために、剥き出しになった乳首を自らの手で触れ、腰を揺らして彼を誘惑する。
「っふ、ロシュ……」
乳首を触って。抱き締めて。何もかもを満たして欲しい。
ベイジルは彼の名を呼びながら、官能的に身をくねらせて誘惑する。
「昨日までは反抗的だったのに、今日はえらく従順だな」
ロシュはベイジルの手をのけ、乳首を摘んだ。
薄い唇は口角を上げて挑戦的に笑っている。
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