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danger。

 †  ロシュは崩れ落ちた壁の瓦礫がある見窄らしい廃墟の中で、力なくぐったりと倒れているベイジルに目をやった。  当初は呼吸が乱れ、ベイジルも、彼の中に宿っていた小さな命も一時は命が危ぶんだが、どうやら落ち着いたようだ。  とはいえ、今もまだ生命力は不安定に変わりない。  一刻も早くこの不愉快で気味の悪い場所から連れ出さねば彼らに命の保証はない。  しかるべき医者に診せ、母胎共に癒やさねばなるまい。  ベイジルの叫び声が耳の奥で聞こえたからやって来てみれば案の定、この様だ。  ――そもそもチャストロミエル教会で小さなゴブリンたちの襲撃にあっていたロシュは、突然の嫌な予感に襲われた。  ベイジルの身に何かよからぬ災いが降りかかっているのだと感じ取ったのがここへ赴いたきっかけだ。  ロシュにとって空間を移動するのは簡単なことだ。ただ肉体から意識を分離させ、意識の方を実体化させれば良いだけの話だ。何も難しいことではない。  ただロシュの意識はここに存在し、肉体はチャストロミエルにある。  彼ら神や天使が時空を越えて瞬時に移動できるのはつまりそういう原理だ。  ベイジルがどこにいるのかを嗅ぎ分けるのも簡単なことで、一度ベイジルを抱いた彼の残り香は消えることがない。おかげで彼を見つけるのには造作もない。  たとえ、この場所が時空の狭間だとしても――だ。  それにしても……。  ロシュは、目の前にいる大鎌を手にした悪魔を見た。

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