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攻防。

 なぜこの悪魔はベイジルをこの異空間に呼び寄せ、襲ったのか。  普段、この手の悪魔は殆どの場面に置いて人間の前に姿を現すことはない。  なぜならば、禍々しい殺気はこの悪魔から垂れ流しになっており、自我を持たない人間はこの殺気に触れただけでもたちまち死に至るほどの恐ろしい強固な悪魔だったからだ。  彼らはその姿同様、この世界では死神として活躍しており、ロシュたちペトロやラーダ神の支配下にある。  もちろん、ロシュはこの悪魔にベイジルを襲うよう命じてはいない。  ということは、結論はただひとつ。この悪魔を呼び出したのはエルズーリー・ジェ・ルージュに違いない。  どういった因縁があるのかは判らないが、彼女はベイジルの命を狙っている。  たった一度の襲撃が失敗したからといって諦めるような潔い魔女ではないことは、同じジェ・ルージュの血族であるロシュがよく熟知している。 「お前はエルズーリーが呼び出した悪魔か」  ロシュが尋ねるものの、しかし目の前の悪魔は何も答えない。その代わり、振り上げた大鎌をロシュに向かって一気に下ろした。  どうやら訊くまでもなかったようだ。  肯定だと理解したロシュは鼻を鳴らすと後方に飛び、大鎌が繰り出した攻撃を避ける。  するとついさっきまでロシュがいたその場所は土煙が舞う。コンクリートでできているひとつの固い柱が大鎌に触れてもいないのに、大きな音を立てて崩れ落ちた。  悪魔の大鎌が繰り出したその圧力と、禍々しい魔力で瞬時に崩したのだ。

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