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目覚め。
†
瞼の裏に光輝く大きな球が現れる。光輝く球体を意識すればその分、やがて巨大になり、眩しいほどの光を放つ。それはとても優しく、力強いものだった。強烈でありながら優しい光を見ていると、胸に熱いものが込み上げてくる。それはやがて涙となり、頬を伝った。
ベイジルは暫くの間、瞼の裏に光輝くそれに焦点を合わせる。すると涙溢れる目尻に何かが触れた。それは細くて弾力のある何かだった。
ベイジルの目尻に触れたその何かは、目の前に現れる光に雰囲気が似ている。
これはいったい何だろう。
ベイジルはそっと目を開けた。
すると次に現れたのはシングルベッドに白のカーテン。ところどころ剥がれ落ちている塗装。今ではすっかり見慣れた光景が徐々に形を成していく。
「ここ、は……?」
そこはアパートの一角。自分が借りている部屋だ。
「気が付いたのか」
ベイジルにかけた声はずっと低い。隣にはロマの男性がいた。
彼は心配そうな表情で自分を見下ろしている。
「僕はどうしてここに……」
それになぜ、ベッドで横になっているのだろうか。
ベイジルは目を瞬かせ、赤い目をしたハンサムな彼を見つめた。
尋ねたのはおかしなことに、記憶の一部が抜け落ちているような気がするからだ。
今日もチャストロミエル教会でベビーシッターをしていたところまでは覚えている。
(それからどうしたんだっけ?)
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