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役立たずなオメガ。

「僕はいったいどうしてしまったというの?」  どこまでが本当で、どこからが夢なのか。 「君は子供たちのミルクを買いに行く矢先、玄関先で倒れたんだ。医者は疲労が溜まっていたんだろうと言っていたよ」  ロシュはベイジルにゆっくりと、静かに説明した。 (玄関先で倒れただって?) 「僕が倒れた?」 「ああ」 「玄関先で? 車にさえ乗ってなかったというの?」 「ああ」  幾度なくと繰り返し尋ねるそのたびに、ロシュは小さく頷いてみせた。  もし、彼の言うように自分は買い物にも行かず、玄関先で倒れていたならば、今日自分が受けた買い出しはどうなったのだろうか。子供たちのミルクはいったい誰が調達したのだろう。自分はまたしても役立たずに成り下がった。  ベイジルはろくに役にも立てない自分に憤りを感じ、ベッドから飛び起きた。  窓の外を見やれば、空は朱色に染まっている。今朝方から夕方になる今の今までのほほんと眠っていただなんて!  恩を仇で返すとはこのことだ。オメガの自分を雇ってくれただけでも有り難いのに教会の役には立たず、しかも今現在、ロシュがこうして自分の傍に居るということは、付きっきりで看てくれていたことに間違いはない。自分は教会だけでなく、ロシュにさえも迷惑をかけてしまった。  こうしてはいられない。迷惑をかけた分、しっかり働かねば!!  ベイジルは唇を引き結び、近くにあった薄手の上着を取った。

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