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核心。

 スターリーにしても、ロシュにしてもそれは同じことだ。そんなことはもう判っている。しかし、ロシュだけには嫌われたくない。突き放されたくはないと、ベイジルは思った。 「ロシュ――」 『僕を捨てないで。傍にいてほしい』  口にしようとするものの、言葉は続かない。  身体中から血液が消え失せていくようだ。芯から熱を奪われ、冷たく凍っていく。  だってどんなに優しく接してくれようともロシュとは身体だけの関係だ。傍にいてくれる筈がないことはすでに判りきっている。  それでも、とベイジルは唇を強く噛みしめ、ロシュという力強い存在に焦がれた。 「ベイジル! 自分の性や家柄だけで相手を選ぶとはなんて奴だ!」  すっかり過去の出来事によって打ちひしがれているベイジルに、ロシュは突然大きな声を出したかと思うと次は何やら小声で罵っている。  それから彼は唇を引き結ぶ。  ロシュは今、会ったこともないスターリーという男に怒りをあらわにしている。  ベイジルはもうそれだけで十分だった。ベイジルの心があたたかになる。  目尻から透明な涙が零れ落ちた。 「そんな愚かなアルファのことなんか忘れてしまえ! くそっ! 目の前にいたら今すぐ殴り倒してやるものを!! いや、それでも気が済まないくらいだ!」  ベイジルの身に起こった出来事なのに、まるで自分のことのように怒るロシュの気持ちが嬉しい。 「捨てられた当時は悲しかったけど、今は平気なんだ。少しも苦しいとも悲しいとも思わない」 (貴方がいるから――)  ベイジルはそう口にしたい言葉をなんとか胸の中に引っ込めた。  そうしたのは、ベイジルの気持ちが重たい荷物にならないかどうかを懸念したからだ。

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