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頑固なアルファを誘惑する方法。

 今はスターリーに怒りをあらわにするロシュがいる。ただそれだけでいい。自分の気持ちを打ち明けるのはもう少し後でも構わない筈だ。彼はもしかすると、ベイジルをただの性欲処理だとは思っていないのかもしれない。だって彼は意識を失っている自分を付きっきりで看病してくれていた。そして自分の身を案じてくれる。  今はまだ彼自身が理解していないだけで、もしかすると、ずっと深いところで自分を想ってくれているのかもしれない。自分と同じように――。  そう、ベイジルはロシュに慕情を抱きはじめている。いや、それどころではなく、もっとずっと深いところで彼を想っていた。  それはきっと、愛。ベイジルは知らない間に心の奥底に根を生やし、彼を愛してしまっていたのだ。けれども今はまだ口にできない。彼の本心を聞くまでは!!  しかし、ベイジルは少なからずロシュに手応えも感じていた。彼ならばお腹の赤ん坊ごと自分を愛してくれる。ベイジルの中でそういう核心がなぜかあった。  彼を愛している。自分の気持ちに素直になれば、ベイジルの身体に欲望の炎が灯る。今すぐロシュが欲しい。今はまだ愛の言葉はいい。その代わりに力強いその腕に抱かれたい。ベイジルは切に願った。 「ロシュ……」  シャツの下をくぐり抜け、分厚い胸板をなぞれば、 「ベイジル! 君はまだ本調子じゃない」  彼は目を閉ざし、静かに首を振る。そうやって気遣ってくれる彼に抱かれたい。 「僕はもう平気。ねぇ、お願い」  そっと乳首に触れてみる。 「ベイジル……」  しかしロシュはやはり目をつむったままだ。彼は昂ぶる感情を落ち着かせようとしているのだろう。大きく深呼吸している。そのたびに、肺が膨らみ、ベイジルの手を押し上げる。けれどもそれに負けるようなベイジルではない。オメガの性を思いきり利用してやろうと思いつく。  今までの自分にはない発想に、ベイジル自身も驚いた。しかし、誘惑する相手はロシュなのだ。それも悪くない。 「ロシュ……」  ベイジルは息づく彼の男根にそっと手を伸ばし、揉むようにして掴めば薄い唇からくぐもった声が飛び出す。

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