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夏道-6 友達以上恋人未満

朝の五時。 起きて走りに行く。 鳴った目覚まし時計を素早く止めて抱き付いていたものを放して起き上がると、依が隣に寝ていた。そういえばコイツ泊めたんだ。 何となくまた横になって頬杖をついて、その寝顔を眺める。 小学の頃はよく泊りに来るのが当たり前だったけど、めっきり来なくなったから久々の光景だ。この前は依の家に泊めてもらったけど、自分家だと気分が少し違う。二人ともデカくなって、部屋も狭くなった。 こっちを向いて寝ている顔を撫でる。 約束をドタキャンされたあと半ば無理矢理泊めたんだった。別にドタキャンはいいけど、他の奴と会っているという理由で無性に腹が立った。コイツは直接謝りに来たけど、それだけでは治らなくて家に引っ張り込んだ。 一緒に居れる時は一緒に居たいんだ。……ワガママなのは分かってんだけど。付き合う関係になってからその気持ちが強くなった気がする。もっと欲しくなる。 もう一度抱きしめても寝ているコイツは無防備で、されるがままなのは昔からだ。 依が好きだ。 でも、友達だ。 「友達と恋人の違いって何かな」 知らず口に出していた。 「お互いに好きでキスもセックスもするかどうかじゃない?」 「は?」 依から視線をずらして見ると、姉貴がドアの所に立って見下ろしていた。 「あ、おかえり」 「ただいま。依泊まってたんだ、懐かし。流石にデカくなったね」 「うん」 「アンタまだそんな事してんの」 「そんな事ってなに」 「抱き枕にしてる」 そう言い終わると少し楽しげに依の寝顔を覗いてくる。姉貴に頬をつつかれてもコイツはよく眠っている。 「もう癖だわ」 「そんなんで依に恋人できたら、アンタどうすんのさ」 「は?」 いや、今俺ら付き合ってるし。依も相手いないって言ってたし。俺の不機嫌な顔を見た姉貴は呆れたようにため息をついて、「大概にしとけよ」と言いつつドアに手をかけて出ていこうとした。 「走りに行くんじゃないの?」 「あ、行く」 「行ってらっしゃい」 ドアが閉まると、俺もちゃんと起きようとした。依は俺が帰って来る頃には起きてるだろう。 寝顔を見つめながらさっき姉貴が言ったことを思い返した。キスはしてしまった事はあるが、あれはノーカンだろ? 唇に触れてみると柔らかい。寝顔は相変わらず可愛い。 キスならできそうな気はする。 「ん?」 スッと離れて起き上がった。 俺は今何を考えた。 いやいや、コイツに対してそういう事考えたことないぞ、友達だから。 さっさと服を着替えて準備をする。走りに行かなきゃ。 ──「依に恋人できたら、アンタどうすんのさ」 ……どうすんだろう。 嫌だな。

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