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依-21 休み明けと合同体育

 夏祭りの帰り、俺の家まで手を繋いで帰った。その時だけは羞恥心の類いは無かった。いつも勝手に我儘にくっ付いてくるあいつが、動かないままで居るのが怖かった。そのまま消えていかれそうで、気づいたら俺の方から手を握っていた。  繋ぐのは周りの目が気になって恥ずかしい。けど、夏道が離れていくのは怖くなるほど嫌だった。  一緒に居たいなら居ればいいだろう。  あんな躊躇するなよ。俺が困るだろう。  意味が違っても、俺も同じ事を思っているのだから。  翌日会った時には笑顔を向けてくれたので心底安心した。この関係はまだ続いてくれそうかな。  俺も十分ワガママだな。  長期休みの後でも俺はすぐ学校生活に順応した。勉強をみんなとするのも刺激があって楽しく思える。目の前の奴はいつも通り項垂れているけど。登校早々抱きついてきて再会を喜んでいたが、先週会っていただろうに。 「夏休みは魅惑的で楽しい青春のものなのに……今年はほとんど楽しめなかった……っ」 「課題、全部終わらせたんでしょ? すごいよ」 「そうだけどさ〜〜、ほんと地獄だったんだよ〜〜」  次の授業は体育なので早々に着替えて行く。航は頭より体を動かす方が良いと言って軽快に歩いて行く。俺はその逆だけど、今回はその足と同じ速度で向かっていた。夏道のクラスと合同でやるから。  準備運動のあとコート二つを使って男女に別れ、バレーを試合形式でする。得点版の係はそれぞれ交代制で、夏道と俺が偶然一緒になった。内心とても嬉しい。夏道は一方的に話してきて点数をめくらないので、係としては俺が一人でしている状態だけど。 「なぁ依、聞いてる?」 「聞いてる」  内容は聞いてないけど。  壁際に居る交代待ちの生徒達も退屈そうにお喋りをしているが、運動部がコートに入ると試合は面白くなってきた。バレー部員もいて、ボールは激しい音を立てて弾かれた。度々飛んでくるボールを避けるが、夏道は平然とキャッチしていた。流石。  味方チームの点数をめくる。航もよく動いて点を稼いでいる。俺はやるより観ている方が楽しいな。  敵チームに点が入り手を伸ばしてめくった時、誰かが甲高い声を上げた。その声に振り向くや否や、何かが顔をかすめた。  壁に当たって転がる物を見てやっと分かったが、サーブミスのボールが飛んできたらしい。直撃しなくてよかった。飛ばしてしまった本人が慌てて駆け寄ってきた。 「ごめん! 一時ッ」 「うん、大丈夫だよ」  優しく答えても相手の顔は青ざめていく一方だった。一瞬向いた方を俺も見ると、隣の奴が原因だと察した。  静かに、かなり不機嫌な表情で相手を睨んでいる。  俺はこの後どうなるか経験上知っていたので、出来るだけ早く夏道に手を伸ばした。

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