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誠志郎-2 文化祭 準備
つまらない。
今年はアイツと同じクラスにならなかった。授業どころか行事全てつまらない。
うちのクラスは演劇をするらしい。脇役を率先して取って、適当にやる……つもりだった。
「何で主人公の王子なんだよ……、お前やれよ」
「俺村人Cだから」
「それ俺が取りたかった台詞が一つしかないモブ」
題目は「王子と秘密の林檎」。某姫物語のオマージュで、王子視点のストーリー。
迷い込んだ森で見かけた姫に一目惚れをした王子は、魔女や小人に命じてあの手この手で姫を自分の処へ導きさせるという内容だ。最終的には両思いになるが、王子のした事が姫にバレて尻に敷かれる日々を送る。
阿呆か。
好きなら直接言えば済むだろう。
……両思いになると決まっている話だけにしか言えないが。
「台詞も多いし……。ていうかこの王子ほんとヘタレだな」
夏休み期間は野球で忙しかったし、台詞を覚えるのも一苦労だ。ほんと面倒臭い。気怠げにページをめくる。
「模擬店で焼き鳥やる所があるらしい」
「もうつっこまねぇぞ」
隣の奴はお気楽に文化祭当日を待ち兼ねている。表情筋の無い奴だが、好きなものに対する反応は分かりやすい。
「暇だろ? 台詞合わせ付き合えよ」
台本も無いコイツに一冊ヒョイと渡すと、頷いて受け取った。
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