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航-10 文化祭 準備
夏休みの課題を全て提出した時は、すごく喜ばれて褒められた。他の先生は普段からそうあってくれたら良いんだけどなぁと揶揄した。気分は悪くはなかった。
「この調子でこれからも相手してやる」
なんて、あの先生に言われた時は背筋がゾッとするくらい嫌だったけど。
付き合うようになっても、先生は変わらない態度だった。けれど、二人きりになると所構わずオレに触れてくるようになった。資料室に連れ込まれた時は困った。場所も立場も、この人は全く危惧せず迫ってくるから、オレが注意を払いながら行動している。
許可を求めたり聞き耳がある素振りでも、逃げられないようにしながらのそれは意味が無いです。
大人のくせに。先生のくせに。
自分から来てくれるのは……、吝かではないけども。
さて、気持ちを切り替えよう。
なんといっても文化祭があるのだから!!
今年は喫茶店で、ちょっと物足りなく感じてたけど、いっくんからの誘いを聞いて一気に楽しみになった。
いっくんのメイド姿!
絶対かわいいよねっ!!
一緒にいっぱい写真撮るもんねっ!!
想像を空虚に浮かべてガッツポーズしていると、目の前に何かの紙が迫り視界を覆われてオレは現実に帰ってきた。
「そうするほど勉強が楽しみになったか」
「断じて違います」
六堂先生は追試のプリントをオレの机に置いて、あっさり教室から出て行く。その背中を頬杖をつきながら見送る。
「頑張れ航〜」
この期間は放課後も少なからず人がいる。文化祭の準備に勤しむクラスメイト達に後ろから応援された。
「つまんなーいッ!」
二つの意味で。
メイド服、オレも着るんだよなぁ。先生に見せたらどう反応されるかな。
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