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依-55 イベント リターン
全くよく似た姉弟だ。
「嫌だ…っ!」
「絶対可愛いって」
「笑ってるじゃん……、絶対そう思ってない」
「思ってるよ。なぁ、着て?」
シーズンはもう終わったと言っても無駄だった。
強制では無いけどじわじわと押してくる圧があって、袋から出したサンタ衣装を持って若干猫なで声でお願いされる。お前は犬だろ。
「ワンピースじゃないし肩も出てねぇよ? なんか普通に似合いそう」
白の立ち襟ブラウスに黒い紐状のリボン、サンタカラーの短パンと帽子、手首につけるファー。白い靴下は別で俺用に買ったらしいものがあった。
冷静になってよく見れば確かに。女性物に変わりないが、前よりマシだと思えてくる。もしやこっちが本命の衣装だったのか。
期待の眼差しを向ける夏道は無い尻尾を振っている様だ。やはり犬。
「……写真見て引いたくせに」
「引いてない、すげぇ可愛かった。だからもっかい見たい」
そんな事は言わないで欲しい。
嫌と言えなくなる。
「……引かない……?」
「うん」
顔がすぐ赤くなる俺に差し出してくる。
迷う手を伸ばして結局受け取った。
「可愛い」
「……うぅ……」
「ちゃんと帽子とか付けたんだ」
「……とる」
「可愛いよ」
膝丈と思った短パンはハイウエストで太腿も出てしまっている。手招きされても動かずにいると向こうから来て部屋の中に入れられた。
「お前足綺麗だよな。すね毛ないし」
向かい合わせになるから足を閉じて体育座りすると、手が寄ってスルスルと撫でられる。その手の平が素肌に直接触れるのはどきどきしてしまう。
「っ……ていうか……、着て何になるの」
「俺が嬉しい」
そうですか、何よりだこの野郎。
「もういいだろ……」
「うん、いいよ。脱ぐ?」
「え……」
意外にあっさり終わった、そう思うとやんわりと押し倒された。片足に触れて太腿まで撫で上げてきて、足の間に割って入られた。
「なっ何っ!?」
慌てて両手を突き出して制止する。その表情に心臓が跳ねて固まった俺を見て、夏道は口端を上げて目を細くした。
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