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第7話
内腿を震わせながら、宮代は必死に、羞恥心と戦っていた。
シェービングクリームを塗られた後、真剣な眼差しでカミソリを扱う織辺相手に、照れるなと言う方が無理な話だ。
性器や秘所を見られるのとは、全く違う感覚に……宮代の背中は、妙にざわついてしまう。
添えられた左手が、肌の上を這うカミソリの感覚が、脳を揺さぶるように響く剃毛の音が……宮代の羞恥心を更に煽った。
一番恥ずかしいのは……こんな状況なのに興奮している自分と、冷静な織辺の温度差だ。
勃ち上がりかけた逸物に、織辺は気付いている。熱を持ち、上を向いていると剃毛の際に邪魔なのか、時々左手で触れて左右へどかされた。
たったそれだけの触れ合いにも、宮代は熱を帯びてしまう。
いつもは、宮代を傷付けることに対して躊躇も遠慮も見せない織辺が、宮代の肌を切ってしまわないようにと、真剣に刃物を扱ってくれている。この現状に、何故か体が高揚してしまう。
必死に落ち着こうと試みても、体は正直だ。自分でも気づかないうちに、宮代の吐息は……熱っぽいものになっていた。
「はぁ……ぁ、織辺……さんっ」
「盛るな」
冷たく一蹴されたところで、体の熱が鎮まる筈はない。むしろ……更に、情欲を煽られる。
冷たかったカミソリの感触は、いつの間にか生温かいものとなっていた。宮代の体温で刃が温まってしまう程、時間をかけて剃っているという事だ。
あまりにも丁寧に、細やかなところにまで気を配られ……宮代は堪らず、目を閉じた。見続けていたら、おかしくなってしまいそうだったから。
けれど、目を閉じてはいけない。カミソリの動きが見えないと、性器を切られるのではないかと、不安になってしまうからだ。そう思ってしまうくらいには、宮代は織辺によって傷付けられる可能性を、感じている。
毛を剃られていくと、眼前には白い肌が映し出されていく。思えば、局部に暴力を振るわれたことは、なかった。ある意味で、最も綺麗な場所なのだ。
毛が剃られ、綺麗になっていく局部を眺めていると……不意に、宮代の背筋が凍り付く。
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