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第4話

奏弥の感情は戻らなくても、奏弥のお腹は日に日に大きくなり、医者からもそろそろ生まれるのではないかと言われた日の夜のことだった。源之亟の部下数人が謀反を起こし、多くの兵を率いて城に攻めてきたのだ。その部下たちは数か月前から作戦を練っており、毛利にも力を借りてのことだった。源之亟や、側近たちは奮闘したが、城に火をかけられ、もう自害するしかないと考えた。源之亟は最後に奏弥だけでも逃がしたいと考えた。奏弥のいる部屋に向かう途中で敵に囲まれてしまい、戦っている最中に後ろの武士が刀を振り上げ、もうこれまでかと思った時だった。 「あにうえさまっ!!」ずばっ  「奏弥っ!!!」 奏弥は源之亟の背中に抱きつき、源之亟をかばって斬られたのだ。 「うおおっ……!!」 奏弥が斬られたのに気付いた源之亟は自分を囲んでいた敵を全て斬り殺した。 「奏弥っ、奏弥っ、どうして私をかばったのだ、奏弥っ!!」 源之亟は息も絶え絶えな奏弥を抱き上げ、涙をこぼしながら、名を呼び続けた。 「あにうえさま……ご無事でよかった…」 「私はお前にひどいことをした…っ!かばってもらう資格なぞなかった!」 「短い…時間でしたが……また兄上様と…過ごすこと……ができてわたしは…幸せでした、昔に戻れたようで…うれしかった…、昔も今も変わらず愛しております…」 そう言って奏弥は幸せそうにこと切れた。 「奏弥っ、私もだ!愛している!だから目を覚ましてくれ…!奏弥……っ!」 「 」 「このような不甲斐ない私のために……っ、奏弥っっ!」 源之亟はこと切れた奏弥を抱きしめしばらく泣き叫んでいたが、奏弥を丁寧に抱きかかえると自室へ運んだ。そして、奏弥を寝かせると、奏弥の長い髪を梳きながら口づけた。 「奏弥、すぐにそばへ行くからね、」 源之亟はそう言うと自らの首に刃を突き立て、奏弥の上に倒れこみ、奏弥の名を呼びながらこと切れた。 城に放たれた火は燃え広がり、奏弥と源之亟を覆い、城は焼け落ちた

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