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第11話(R18)
「あ……」
ジェスが再び目を開けたのは真っ白な天井の場所だった。目を閉じる前のことを思い返すと、レクター病院のIDを使って、一般には公開されていない地下の部屋へ侵入するべく、方法を探っていた。その方法を見事に見つけ、ジェスは地下へと降りていった。
記者として、レクター病院の黒い噂の真相を確かめるため。
そして、恋人であるイルクがいるのであれば、彼を連れ戻すために。
「ここはまだあの病院の地下……なのか?」
どうやら手足を何かで拘束され、捕まえているらしく、ジェスは身体を起こすことができなかった。
すると、ジェスの耳には奇妙な声が聞こえてきた。
「ソウ、ココはレクタービョウインのチカ。ジンルイにトッテトテモユウエキで、イダイなケンキュウをオコナうキカン」
凡そ、人間が話しているとは思えない声に、ジェスは比較的、まともに動く口を動かす。
その言葉は勿論、罵倒の類だった。
「有益で、偉大な研究? はぁ、あれのどこが?」
何人かの男達が機械に犯され、嬲られていた。どういう目的があるかは分からないが、様子から察するに彼らがそれを望んでいるとはジェスには考えられなかった。
「ハナシをサイゴまでキクコトだ。レジオのシンブンキシャ、ジェス・テジエ?」
「どうして、俺の名前を……それに素性も?」
自分の正体を知る謎の声に、ジェスは混乱する。拘束具を無理矢理にでも壊して、立ち上がろうとするが、ぴったりと金属の枷のようなもので手足を拘束しているのか、無機質な音が鳴り響くだけだった。
「ムダだ。マキナにニンゲンのチカラはキカヌ。アト、ムダなトイカケ。ムダなテイコウも」
「あぅっ!」
次の瞬間、ジェスの視界には金属製の腕のようなものが伸びてくる。嬲られた男達と同じような猿轡のようなものがジェスの口元にも装着され、唯一、自由になった声が発せなくなってしまった。
「クチホドにもナイ。アトは……」
そこからのことはジェスにとって思い出すのも悍ましかった。
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