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天使が落ちてきて

罪を犯したり等の理由で堕天をした天使が居場所を失い魔界に来る事は時折あるものの、堕天していない天使が魔界に落ちてくるなど、そうある事ではない。 稀に迷い込んできたり、怪我をして落ちてきてしまう天使もいるものの、その大半は、悪魔や魔界の住人に殺されるか、手酷く犯されてボロ雑巾の様に捨てられ、野垂れ死ぬ。 まぁ、逆に悪魔が天界に迷い込んできてしまった場合は、好色な天使に見目が良いものは『ペット』等と称し、性奴隷の様に扱ったり、わざと広い場所へ離し悪魔狩り等という趣味の悪い遊びをする輩も少なくないのだから、どこも似た様なものだとルシファーは思う。 「堕天してない天使が落ちてくるなんて珍しいですね…」 堕天使が出たとなれば、真っ先にルシファーの耳に入りそうなものだが、天界からその様な連絡は来ていない。 とすれば、その天使とやらも迷い込んできてしまったのだろう。 のほほんと答えるルシファーにアポリオンが焦る。 「何呑気な事言ってるんですか!もし、迷い込んできた天使に何かあれば、外交問題にも発展しかねないんですよっ!?」 「まぁ、でも、アポリオンの事ですから、もう然るべき処置はとってくれているのでしょう?」 にっこりとルシファーがアポリオンに笑みを向ければ、むず痒そうにアポリオンが照れる。 純粋な悪魔のアポリオンには、自分に向けられる好意が、未だに慣れない。 それでも、この魔界を治める魔王が自分を信頼し、傍に置いている事がとても誇らしかった。 「…、他の悪魔にこの事が知れるとやっかいですから、城内に速やかに保護してあります」 「ありがとう、いつも助かりますよ」 「全ては、ルシファー様の意のままに」 アポリオンは忠誠を誓った主に膝をついて、頭を下げた。

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