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迷子の天使

そんな自分の容姿の事で両親と口論になったのは昨日の事だ。 なんで、自分をもっと天使らしく産んで育ててくれなかったのかと喚きちらし、なんて事言うんだと父親にぶたれた。 が、頭にきたので父親の脛を蹴ってそのまま家を飛び出した。 飛び出したはいいが、感情の苛立ちのまま、飛び続けて、ついには知らない場所に迷い込んできてしまった。 明るくていつでも暖かい天界とは違い、迷い込んだ先は暗くてひんやりと寒い。 色とりどりの草木や鳥もいなければ、どこまでも続くのは冷たい岩肌で、急に不安になる。 天界のずっと先に、こんな気味の悪い場所があるなんて知らなかった。 恐くなって、泣いて泣いて、泣き続けて、いつの間にか疲れて眠ってしまった。 ♢♢♢ 固い道端で寝て、背中が痛かったはずなのに、今はふかふかと気持ちいい。 不思議に思えば、徐々に意識が浮上していく。 ゆっくりと目を開けると、先程の薄暗い外では無く、立派な大きいベッドの上に寝ている事に気づく。 (ここはどこだ?) 周りを見渡して、首を傾げる。一瞬家に帰ってきたのかと思ったが、そこは見覚えの無い場所だった。

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