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4、出来損ないの欠陥品
片岡の身体の奥底から、沸騰するような熱が噴出し、全身を駆け巡る。
やがて熱は陰部へと集まり、イチモツを張り裂けんばかりに膨張させた。
うなされるように荒くなった吐息は、ただ荒いだけではなく、艶を含んでいる。
「……おじさん」
夏樹が、尻餅をついたまま動かない片岡を覗き込んでいた。
ここでようやく片岡は、先程まで話していた夏樹の存在を思い出したのだ。
「ああ、ちょっと足を滑らせて転んじゃったみたいだな。ははは……まだまだ若いつもりだったけど情けないな。大丈夫だから、少し離れてくれないか」
火照った身体を悟られないように、冷静を装って片岡が言葉をひねり出した。
あまりマジマジと見られると、荒い息遣いを、猛ったイチモツを気付かれるかもしれない。片岡としては、一刻も早く夏樹を遠ざけたかったのだ。
遠ざけ、トイレにでも入ってコッソリと猛りを鎮めるつもりだったのだ。
だが、夏樹の行動は、片岡のまったく予期せぬものだった。
不意に、片岡の口が、熱いくちびるで塞がれた。
冷静な言葉も荒い吐息もすべて堰き止める、熱いくちびるで。
何が起こったか理解できない片岡の目に入ってきたのは、炎のように情熱的な眼差しと、鮮やかに染められた金の髪。
片岡の口内に、うねうねと蠢く触手のような舌が入ってきた。
舌を絡め、歯をなぞり、頬肉を貪るように味わい尽くし、口内の隅々まで余す所無く犯していく。
半ばパニックになった片岡が逃げようとしても、力強い腕が頭を掴んで離さない。そしてなにより、とろけるような快感が全身に行き渡り、力がまったく入らない。
口内を堪能した舌が外気にふれる頃には、片岡は瞳を潤ませ、ただ夏樹を見ることしかできなくなっていた。
「おじさん……もしかして……オメガなの?」
ドクン、と、片岡の胸が高鳴った。
片岡が家族にオメガであることを告げたことは無い。一生隠し通すつもりだったのだ。
だが、夏樹は気付いた。それが意味するものは……。
「お前……まさか……アルファなのか?」
片岡のフェロモンが夏樹に届いた、としか考えられない。
今まで、誰にも届いたことのないフェロモンが。
「ええ。そうです」
いつの間にいたのか。片岡の背後に春人が立っていた。
座り込んでいる片岡の目線は、ちょうど春人の股間にあった。その股間は、見事にテントを張って勃っている。
「僕たちはアルファです。ただし……出来損ないの欠陥品ですけどね」
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