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2 :奏のヒミツ

しかしどうしたものか。残念ながら秘密にしている事は苦手な俺は相手を洗ってやりながら処遇を考えていた。別に悪い事をしていたわけじゃないし、家族がいない間は好きにさせていいのではないか。そんな事を考えているとふと身体のあちこちに痣を見つけた。思わず手を止める。痣を見つけられた少年はそれを隠すように丸くなった。気になった俺は尋ねてみた。 「...この痣、ここの人が叩いた?それとも自分で?」 『…………』 「そう言えば名前聞いてなかったね...名前は?」 『......名前、は。奏...です。』 痣については何も教えてはくれなかったが、名前については答えてもらうことができた。俺は名前を聞くとニコッと微笑み手を差し出して、「よろしくね?」と言った。手を差し出されなれてないのか、奏は不思議そうに手を見つめてからゆっくりと手を取った。俺は残りの泡を全て落としてやると抱えて浴槽に浸からせた。奏は無口ではあるが浴槽の中でとてもリラックスしているように見えた。それを見て俺は奏に自分の着替えを着せるために一度部屋に戻った。それから適当に自分の服を取り、戻ってくるといつの間にか奏は上がり脱水場に立っていた。ゆっくり近寄り、タオルを手渡すと大丈夫だと言うように微笑んでやると奏は微かに微笑んだ。服を着せてやり、リビングに連れて行くとテレビをつけては見ているようにと言い、俺は押し入れを掃除する為にまた納屋にやって来た。最低限のものしか綺麗に出来ないなと思いつつシーツをはいでいると、床に小さな袋が落ちた。 「...なんだこれ。袋?」 その袋を開けると中には薬と説明書きがあった。 「抑制剤︰Ωの発情期を抑える為に1日1度発情期には頓服薬を3錠飲む事」 ...Ω?奏はΩなのだろうか? けど、この家の家族は確かβだと聞いたのだが。じゃあ、奏はΩだから押し入れにいた? 沢山のハテナが頭に浮かんだ。だが、本人に聞いてみないことにはそこは分からない為、一応薬類は見なかった事にして片付けた。その後リビングに行くと、心配していたのか奏が近くに寄ってきた。その顔には不安そうな、怯えたようなそんな顔をしていた。そんな顔を見たくなくて、優しく抱きしめて頭を撫で膝に座らせてやった。怯えているのは相変わらずだったが、少し落ち着いたようだった。俺はどのタイミングでΩの事を聞くべきか、少し考える事にしたのだった。

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