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4:発情期

電話から戻ってくると、奏の姿が見えなかった。電話していたのは15分程の間だ。何処に行ったのかと思ったが、奏はそもそも納屋とトイレ位しか行った事がない。納屋に戻ったのだろうと思えばとりあえず納屋の扉を開けた。不意に鼻につく、何か誘われるような匂い。さっき片付けをした時にはこんな匂いはなかったはず。その匂いは奏の寝ている所から漏れていた。クラクラするのを耐えながら奏の寝所を俺は開けた。 「…っ!?」 『あっ…!開けちゃダメなのにっ……匂いにやられちゃうから...』 「この匂い…何?やべっ…っ」 開けた途端に強まる匂い。赤い発情した顔に失いそうになる理性。ふと「発情期」と言う言葉が頭を過った。教科書の隅に少しだけ書いてあったその言葉を必死に思い出す。Ωがある一定の時期になれば意思に関係なく身体が熱くなり敏感になる。そして、行為を行えば子どもが出来る。だが、薬を飲んでいたはずだ。こんなになるなんて、と思いながら一応ゆっくりとだがドアから1歩離れる。すると、潤んだ目で奏は呟いた。 「なんでだろう……何時もはこんなにならないのに……お兄さんといるとドキドキする。抑えられなくなるんだ……だから……」 予想をはるかに超えた、奏の発言に思わず俺は固まった。そして、次の瞬間には奏を押し入れから抱き抱えて自室へと連れて行ったのだった。俺にベットに降ろされた奏は、流石に状況を把握したのか大人しくしていた。勿論こうしている間にも匂いは強くなっている。理性も飛び、軽く押し倒すと奏は俺にゆっくりと尋ねた。 『……お兄さんは、好きなの?僕の事……』 好きなのだろうか、嫌いではない。むしろ大事にしたいと思っている。愛しいとかそういうレベルで。それは好きという事なんだろうか。よく分からなかったが、俺はゆっくり頷いてみせた。どちらにしろ、手放す気はなかったから。すると、奏は嬉しそうに抱きついてきた。俺は抱きとめながら今度こそと服を脱がせて行為をし始めたのだった。 長い夜が明け、明け方。俺は満足そうに眠る奏の横で疲弊していた。発情期の奏が1度で満足する訳もなく俺もご無沙汰だったのでつい調子に乗ったのだ。今日は1日寝ていようかと思いつつ、奏の寝顔を眺めていたのだが不意に枕元の携帯が光る。通知が溜まっていた様だ。手を伸ばし、携帯を取ると通知を確認していく。それが終わると俺はふと寝ている奏の寝顔をカメラで写したのだった。

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