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010 自分の仕事に誇りを持っている1-3
「時間を戻す前の俺たちは知らない間にアロイスによって守られていたんだ」
「そうだったんですか」
「致死性の高い毒ではなくてもアロイスは見抜いて弾いてくれる。十四歳を過ぎると呼ばれた先で出されるお茶やお酒に媚薬を混ぜられるようになった。だから、アロイスにはとても助けられたよ」
「びやく!?」
「自分の娘に手を出させるためなら、まだ、子供思いな親だと思うところだけれど……」
貴族には享楽主義者が多い。
とくにお金を持っている人間は娯楽をやりつくしていて、刺激を求めている。
その上、頭は鈍っているので後のことなど考えない。
俺に手を出す意味を金だけを貯めこんだ下級貴族は理解していない。
もちろん、愚かな彼らの背後にはプロセチア家を滅ぼさんと画策する組織や反体制派などもいるだろう。
俺さえいなければフォルクハルトを傀儡として使える。
彼らは国の繁栄や安定などを考えない。
自分の代がそこそこに平和ならそれでいい。
中には戦争をしたがっていた集団もいた。
手を組んだり、そそのかされたり、裏切られたり、ハメられたりと俺が十年間見てきただけでも貴族社会は単純ではない。
毒物、劇物ではなく、ちょっとした媚薬程度なら戯れで済むと思って仕掛ける。
バレたとしても使用人の首を切り、お詫びの品として高級品を渡せば終わりだ。
未然に防いだ場合なら、相手の立場によっては罪にも問えない。
次期侯爵であるなら侮られるわけにはいかないので、糾弾するが、第一王子の婚約者という立場ではことを荒げるわけにはいかない。
俺ではなくフォルクハルトの評判を下げかねないからだ。
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