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018 ごっこ遊びのようなもの1-2
馬車が止まった。
二人を驚かせるといけないので、一言伝えておかなければいけない。
「これからするのは、ごっこ遊びのようなものだから気にしないように」
御者が扉を開ける前に自分で開けて、馬車から出る。
ユーティとアロイスが驚いている気配がするが、思い切りよくするのがいい。
出迎えのために外まで出てきてくれたユスおじさまに走って抱き着く。
「おじさまっ! 素敵なお庭をありがとうございましたっ」
走ったことにより声は弾んでいて、喜びをより表現している。
美しい庭を見た興奮に頬が赤らんでいるように見えるはずだ。
きちんとした挨拶を忘れるほどに庭が良かったという俺の主張はユスおじさまにちゃんと伝わっている。
抱き上げられてユスおじさまはその場でぐるぐると回ってくれた。
子供は何歳でもこれを喜ぶと思っているのだろう。
こんな元気なユスおじさまだが、三年後に亡くなられる。
病気やユスおじさま自身に問題があるならともかく、ティメオが斡旋しただろう使用人が原因であるなら当家の責任だ。
父はミーデルガム家が滅びるならそれはそれでいいと思っていそうなので、俺がやるしかない。
以前と違った流れを引き起こすことになっても、今日発生する殺人も含めて阻止させてもらう。
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