思ったのに。 「一応言っておくけど、最後まではしないよ」 「え？」 「セックスは、さっきも言ったけど、好きな人同士で行うものだから。オレたちはそういう仲ではないでしょ？もしオレとしたいのなら、オレの恋人になってから、ね、だから、」 そう言うと、稔はみなみの鎖骨あたりに顔を埋め、優しいキスを施した。 パジャマのボタンを外し、鎖骨から胸へとキスを落としながら移動する。 「ペッティングだけね」 「んっ……」 胸の突起に吸い付かれ、思わず声が出てしまった。 稔は舌を巧みに使って胸の突起を攻める。 最初は触れるだけの感覚でくすぐったかったが、次第に気持ち良さが増していき、声が漏れるようになってきた。 こんなに優しくされるのは初めてで、どんな反応をしていいか分からない。 誠を含め、男たちはみなみを容赦なく乱暴に抱き、だけどみなみもそれが気持ちいいので文句なんて言ったことがない。 むしろ、そんなセックスが普通だと思っていた。 だからこそ、壊れ物を扱うかのような優しすぎる愛撫に戸惑いを隠せないでいた。 「せんぱい……」 はあ、と甘い吐息を零しながら稔の頭を鷲掴む。 「むずむず、する。もっと乱暴にしていいから……」 「乱暴なのは性に合わないな」 「んあっ、ああ、」 乳首を吸われ、快感が走った。じれったくて、でもそれが気持ち良くて。 もっともっと吸ってほしい、もっともっと触ってほしい。 「稔、先輩、」 ああ、キスしてほしい。 そう思い、稔の頬に手を当てた。こちらを向かせるが、ふいに、唇に指を押し当てられた。 「キスもだめ。みなみには誠がいるだろ？」 「でも、他の人とはいっぱいしてるよ？」 男たちはみなみの唇を美味しそうに食んでくる。 舌を入れ、乱暴にキスをしてくる。 だけど稔はそんなキスをしないと言う。 これも、恋人だけの特権ということだろう。 そんなのみなみは嫌だ。 キスしたいしセックスもしたい。 でないと満足できない気がして。 「それもね、本当はおかしいんだよ。キスもセックスも、本当に好きな人とだけするのが普通なんだ。だから今してるこの行為だって、本当は不本意なんだよ」 稔はそう言って、でも、とみなみの頭を優しく撫でた。 頭を撫でられるとなんだかほっとして、反論しようとした言葉も出てこなくなった。 「みなみが苦しそうにしているのは見ていられないから、ね。気持ち良くなろうね」 にっこりと笑う稔は格好良くて、キラキラしていて、きゅんと胸が苦しくなった。 爽やかイケメンスマイルを食らってしまうといよいよ反論できなくなる。 「じゃあ、」 みなみは稔の頬から手を離し、自分の顔を覆って横を向いた。 「気持ち良くしてほしいな」 「うん、任せて」 稔はにこり、と笑った。