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第11話
その後も稔のペッティングは続いた。
その行為はどれもじれったく、だけど、一つ一つのそれが全て気持ち良くて。
「前、触るよ?」
「あ、ぅ……」
先走りで既に濡れた先端を触られて、ぞくぞく、とした。
いつもは思わないのだけれど、今日は見られるだけで恥ずかしいと思ってしまう。
「あ、ああ、あ」
少し刺激されただけなのに、先ほどまでのペッティングのせいか、いつもより感度が何倍にも増している気がする。
優しく触れられただけで、ペニスがぴくんと反応し、固さが増してしまう。
早漏のつもりはないのだけれど、これ以上強く刺激されると射精してしまいそうだ。
「みなみ、一回出そうか」
「んぅ、だ、め、そんな、出る!」
ペニスを優しく扱かれ、体が熱くなってくる。
「いいよ、出しな」
「あああ、あ、ああっ!」
刹那、快感が頂点に達し、稔の手の中で射精した。
はあ、はあ、と肩で息をする。一度射精して少し冷静になって、なんだか本当に恥ずかしくなってきた。
「どう?少しは落ち着いた?寝れそう?」
「寝れる、とは思う、けど、」
ティッシュで手を拭いている稔を見ながら、改めて一目惚れしたことに気付く。
みなみには誠がいるのに、これでは浮気ではないか。
「もっと気持ち良くなりたい、です」
だけど、体は正直だった。
自分でも、自身の最低さやクズさに嫌気が差してしまう。
それでも、毎日セックスに明け暮れ、それに慣れた体はその熱を忘れることができず、覚えた快楽を求めてしまう。
「先輩、お願い……」
「挿入は、なしだよ」
いくら求めても、誘っても、それでも稔の意思は固かった。
普段なら誘惑すれば必要以上の快楽が与えられるというのに。
与えてもらえない、その事実が悲しくて、涙がポロリと流れた。
「挿入はしてあげられない。君の体は誠のものなんでしょ?」
みなみの体は誠のもの。
だったら何故、誠は他の男にみなみを抱かせるのだろうか。
そうすることで、みなみへの愛を確かめていると彼は言ったから、彼の愛は相当歪んでいるのだと思う。
その歪んだ愛を受け入れているみなみもまた歪んでいるのかもしれないけれど。
「オレが誠さんのもので、それが理由でセックスしてくれないっていうなら、どうしてオレはいつも他の男に抱かれてるんです?誠さんはそれを望んでいるんですよ?だったら、」
「ごめんね、オレにはその理屈が分からない」
そう言うと、稔はそっとみなみに布団をかけた。
「もう寝れるよね?お休みね」
「……はい、ありがとうございます」
体の熱は先程よりは落ち着いたので寝ることは可能だろう。
稔はみなみの頭を撫でると寝室から出て行ってしまった。
ソファで寝るつもりらしい。
「誠さん……」
みなみは布団を頭まで被った。
稔の言葉が頭の中でループする。
「誠さん、オレのこと、好きなんだよね……?」
不安だった。
だけど、信じることしか今のみなみにはできなくて。
ただただ願いながらみなみは静かに目を閉じた。
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