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第16話

「稔上手いなぁ、ゆきちゃんトロトロじゃん」 ケンの声が聞こえた。 そうだ、ここには稔だけではなく、ケンとアキラ、誠がいる。 本当はこのまま稔の手技に溺れてしまいたいくらい気持ちいいのだけれど、そんな姿を他人に見られたくはない。 理性だけは手放したくはない。だけど。 「ふあ、ああ、……んあっ」 目尻に涙が浮かんだ。 乳首を攻められて、思わず声が出てしまった。 これはいつも出す演技の声ではない。 本当に気持ち良くて、我慢できなくて出てしまった声だ。 乳首だけでこんなに気持ちいいのだから、挿入されたらきっともっと気持ちいいに違いない。 期待する自分と、それはまずい、と焦る自分がいた。 このまま稔に続けられたら理性を手放してしまいそうだ。 欲に溺れた姿を誠以外の人間に見られるなんてごめんだ。 「あ、あの……」 みなみはケンとアキラの方に顔を向け、笑みを浮かべた。 「お二人は、いいんですか?」 この二人の行為であれば耐えられると踏んだ。 ケンとアキラは互いに顔を見合わせて、何かを相談した後、にこり、とアキラが微笑んだ。 「稔にトロットロにされた後のゆきちゃんをいただこうかな」 「……ッ!」 やばい、と思った。 二人も、今日のみなみはいつもと様子が違うと気付いていたらしい。 「ゆき」 珍しく誠が口を挟んできた。 助けてくれるのだろうか、とみなみは期待を込めて誠を見る。 誠だって、自分以外の人間に恋人が溺れる姿なんて見たくもないだろう。 きっとそうに違いない。誠なら止めてくれる、そう思った。 けど、現実はそんなに甘いものではなかった。 「自分で脱いで、稔くんを誘いな。できるよね?」 「……はい」 自分の恋人が赤の他人によって性欲に溺れていってしまう姿を目の前で見ることになるというのに、誠は平気なのだろうか。 今までの行為とは今日は明らかに違うのは誠だって分かっているはずなのに。 誠は、本当に平気なのだろうか。 「いいよ、オレが脱がす」 稔の手によってみなみの衣類は全て脱がされた。 体操座りをしていたみなみだったが、意を決し、足を広げた。 体が熱い。 早く挿入してほしい。 尻孔はひくひくし、ペニスからは我慢汁が漏れている。 「稔さん、ちょうだい?」 ちらり、と誠を見る。 どうして平静のままこちらを眺めていられるのだろう。 止めもせず、むしろ行為を促して。 (分からないよ……) こんな気持ちになるのは初めてかもしれない。 挿入してほしい気持ちと、見られたくないという気持ちが心の中で戦っていて。 (誠さん……) 止めてほしい。 そう思ったのは今日が初めてかもしれない。

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