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side 悠
週末。
明日から2連休ということもあり、帰宅する足取りも軽い。
空を見上げれば白く輝く月が高い位置にある。
「さむ…!」
日中とは異なり、夜が更けると気温はグッと下がる。
ビルの隙間から抜ける風が体を冷やし、吐く息も白くなりはじめた。
こんな日は鍋料理が食べたくなる。
帰宅して水炊きも良いが、せっかくの連休…久しぶりに飲みに行くか。
蒼牙もそろそろシフトが上がるだろうし、誘って居酒屋に行くのも悪くない。
悪くない…どころか週末の正しい過ごし方じゃないか。
休みの前日の夜。
明日の心配をする必要がないと思うと、気持ちも昂る。
残業で時間的には遅いが、まだ店も空いているはずだ。
スマホを取り出し、急いで蒼牙にメールを送る。
明日は蒼牙も休みだと言っていたし多分大丈夫だろう。
うん、せっかくだし。
あれ以来行っていない、あの居酒屋に行くのも良いな。
思いついた居酒屋を検索し、席が空いているかの確認をとった。
『その個室でしたら…あ、ちょうど先程空いたようです。予約なさいますか?』
「はい。2名で…はい、お願いいたします」
名前と連絡先を告げ通話をきると、蒼牙からメールの着信が入る。
【行きます!これから出ますが、どこに向かえば良いですか?】
嬉しそうな返信に尻尾をブンブン振っている様子が浮かんできて、クスリと笑みが溢れる。
そうして店のリンクをメールに貼り付け送信すると、すぐに既読マークがついた。
自分でも大概だと思うが…今この瞬間もスマホを通してアイツと繋がっているのかと思うと、それだけで何となく気持ちが浮つく。
腕時計を確認し、店と蒼牙のホテルそして己の現在地を思い浮かべる。
うん、この距離なら俺のほうが先に到着できるな。
先に店に入って待っていようと、歩く速度を速める。
「あいつ、どんな顔するかな。」
店に着いた蒼牙がどんな反応をするだろうかと、その顔を想像してまた笑いが込み上げてきた。
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