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第9話
翌朝はホテルの中のイタリアレストランでバイキング形式の朝食を取った。
このレストランで朝食を取れるのはセミスイート以上の部屋に泊まった客だけだ。
スイートルームに朝食を運ばせても良かったが、クラウリーは皆の好みの食事が取れるようにと、敢えてバイキング形式のレストランにしたのだ。
ディーンとサムは色んな料理を試しに食べては「美味い!」を連発している。
クラウリーも好みの料理を堪能している。
そんな中、カスティエルはイタリアンローストのコーヒーだけを飲んでいる。
ディーンとサムが料理を取りに席を立つと、クラウリーが「まだ落ち込んでるのか?」と小声でカスティエルに話しかける。
カスティエルも小声で「今も心の中で贖罪の祈りを唱えている」と答える。
クラウリーが小声だがカスティエルを叱り飛ばす。
「あーもう辛気臭いヤツだな!
お前にだって味覚はあるだろう?
少しは料理を楽しめ!
私がいたたまれないだろうが!
それにディーンは酔っ払って気持ち良い夢を見たと思っているだけだ!
お前のことは覚えていない」
「それはそうだが…」
「それにお前を誘ったのはディーンだ!
お前もディーンの方が約束を破ったからだと言っていたじゃないか!」
「だが…」
「シッ!二人が戻ってきた」
サムがニコニコと笑って「話が弾んでるね」と言ってトレイをテーブルに置くと椅子に座る。
続けてディーンもテーブルに戻って来る。
ディーンはちょっと不貞腐れたように「どうせクラウリーが昨夜の武勇伝でも自慢してたんだろ」と言う。
クラウリーがニヤリと笑う。
「当たりだ、ディーン。
サム、昨夜は良い夜だったよなあ?」
するとサムがうっとりと話し出す。
「まあね。
あの日本の女の子は反則だ。
とってもかわいらしくて肌がきめ細かくて…赤い襦袢だけでもそそるのに、慎みがある上に情熱的で…あんな女の子はアメリカにはいないよ」
ディーンがフンと鼻を鳴らす。
「お堅いサミィちゃんが朝からエロ話かよ。
ハイハイ良い夜をご満悦で良かったな」
「兄貴だって良い夢見たんだろ?
それこそ身体が蕩けるような」
ディーンがギロッとサムを睨む。
「だけど所詮夢なんだよ!夢!
相手は誰だか分かんねーし…あー俺は馬鹿だよな!
飲み過ぎるんじゃ無かった…」
悔しそうにパスタを口に運ぶディーン。
カスティエルはどんどん俯いていく。
そうなのだ。
ディーンは夢だと思っているが、カスティエルはディーンと濃厚な夜を過ごしてしまった。
昨夜のディーンは、兄貴気質丸出しでいつも強気なディーンは欠片も無かった。
素面で『抜きあい』やカスティエルから口淫をされる時も、ディーンの普段のそういう態度も結局はカスティエルの行為に負けて鳴りを潜めるが、昨夜は酷く泥酔していたせいか、カスティエルが見たことも無い『甘ったれディーン』がいた。
カスティエルが容赦しなかったせいもあるが、ディーンの口腔を荒々しく掻き回し、次に身体中にキスを落としてながらディーンの雄に指を絡めているとディーンが「……はぁ…ん…きもちいい…キャスぅ…もっとぉ…ゆび、つよくしてぇ…」と言ったのだ。
その瞬間カスティエルの理性は焼き切れた。
これでもかと指と口を使い、ディーンをイかせ続けた。
ディーンは普段は喘がないように我慢しているところもあるが、昨夜のディーンは喘ぎっぱなしだ。
しかも「ああんっ…だめぇっ…死んじゃう…キャスのいじわるぅ…アッ…いいっ…!出ちゃう…!イく…!あぁっ…!」なんて言ってくる。
『キャスのいじわるぅ』にはカスティエルは耳を疑うと同時に、欲情をこれでもかと掻き立てられ、その言葉がまた聞きたくて、ディーンがイきかけるとわざと根元を掴んでイかせないようにしたり、指での愛撫を止めたりした。
その度にディーンは涙をポロポロと零しながら、「…キャスのいじわるぅ…イきたい…ッ…いじわる、やだぁ…キャスぅ…!」と舌っ足らずな声で強請ってくる。
カスティエルが冷静を装って「もうイきたい?我慢出来ないのか?ディーンらしくないぞ」と言っても、「…イきたい…おねがい…ッ…キャス…おねがいだから…イかせてぇ…キャスぅ…!」と泣きながらカスティエルにしがみついてくる。
そしてトドメに、カスティエルがディーンのぽってりと赤く腫れた胸の突起を、またコリコリと噛んだり舐めたり吸ったりしつつ指でディーンの雄を扱いていると、「…キャス…キスぅ…キスしならがイきたい~…」と言って来た。
こんなことを言われてこの状況で、カスティエルが逆らえるだろうか。
それからは手で扱く時はキスをしながら二人は達するようになった。
フェラだってディーンが自ら足を広げ、流れるような視線をカスティエルに送り「キャスぅ…くち…くちで…しろってばぁ…」と強請ってくる。
勿論カスティエルは逆らえない。
それどころか甘ったれたディーンに魅入られて、焦らして泣かして最後は自分に縋らせるようにしてしまう。
そうして何度達したのか分からなくなった頃、ディーンはいつものように寝落ちした。
カスティエルもいつものようにディーンを泡風呂に入れてやった。
酔っているから慎重に。
それから天使のパワーでベッドメイキングをし、ディーンに下着を履かせ清潔なシーツにそっと横にした。
ベッドサイドのランプの穏やかな明かりを受けてぐっすり眠るディーンは美しい。
そして、あどけない。
カスティエルは静かにディーンを抱きしめる。
風呂上がりのディーンの白い肌は、しっとりとカスティエルの手の平に吸い付く。
カスティエルは欲情を押さえて、ディーンのおでこにキスをする。
それでディーンの身体から今夜の痕跡は消えた。
そしてディーンの唇に触れるだけのキスをする。
これでディーンは今夜のことを夢だと思う。
細かいことは忘れて、ただ気持の良い夢を見たと。
カスティエルは少し寂しい気分になったが、『甘ったれディーン』を散々堪能した嬉しさの方が勝っていた。
そしてカスティエルは自分の部屋に戻り、幸せな気分で朝までベッドに横になっていた。
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