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第15話

小川のせせらぎ。 露天風呂に檜の注ぎ口から継ぎ足される温泉の音。 カスティエルは水の音は案外大きいのだなと思いながら、必死で唇を噛むディーンをチラリと見上げる。 ディーンの雄はカスティエルのフェラのせいで、はち切れんばかりに育っている。 カスティエルが焦らすようにチロチロと舌で茎を辿っていくと、ディーンの尻から太腿がブルブルと震える。 カスティエルがディーン自身から口を離し、淡々と「ディーン。声を出しても良いが君の為にならないぞ」と告げる。 ディーンは今にも涙を零しそうに瞳を潤ませてカスティエルを見る。 「…キャス…なんで…」 途切れ途切れの呟き。 カスティエルは黙って下を向き、ディーンの雄を根元まで咥え込み激しくピストンする。 ディーンが我慢出来ずに「…んんっ…ンッ…!」と小さく喘ぐ。 そしてカスティエルは先端の割れ目に舌をねじ込むように動かすと、柔らかい皮膚に歯を立てる。 「…ヒッ…!アアッ…!」 ディーンが声を上げ、白濁を散らす。 カスティエルも同時に達する。 ディーンの後ろの床に着いている腕が、ブルブルと震える。 カスティエルは内太腿を押し広げていた両手を離し、ディーンの身体を支え、横たえる。 そして閉じた瞳から涙を頬に伝わせているディーンに囁く。 「ディーン。 私の人類愛が一度で収まらないことは知ってるな? もし君が抵抗しないと約束するのなら、ベッドに連れて行ってやる。 どうする?」 ディーンがうっすらと瞼を開ける。 「…俺が…お前の人類愛に抵抗したことがあったかよ…」 荒い息の中、ディーンがキッパリと言う。 カスティエルがフフっと笑う。 「そうだった。 でも今日は新しいことをしたいし、君の言う私の人類愛とやらを徹底的に受け止めてもらう。 どうする? ベッドに行くか?」 ディーンが頷く。 そして涙を堪え「…キャス…こんなの…キャスじゃねえ…」と呟く。 カスティエルはディーンの瞳を真っ直ぐに見ると言った。 「私は完全に理解したんだ。 君にどんな方法を使っても、どんなに君を愛しても、私の本当の愛は伝わらないと。 せいぜい人類愛止まりだと。 だったら人類愛とやらを受け止めてもらって、君を好きなように扱う。 君は人類愛なら文句は言わない」 ディーンの瞳が見開かれる。 そしてまた涙が零れる。 次の瞬間、二人はベッドの上にいた。 カスティエルの舌がツーッとディーンの鎖骨を舐める。 ディーンが「…あっ…」と吐息混じりの熱い息を吐く。 するとカスティエルの指がディーンの胸の突起をぎゅっと捻る。 「…いたっ…アアッ…!」 カスティエルが「痛いくらいが好きな癖に」と冷たく言い放つ。 ディーンが涙で濡れた瞳でカスティエルを睨む。 カスティエルがフフっと嗤う。 「そんな顔をするな。 私を煽って楽しいのか? 私を煽れば煽るほど酷い目に遭うのは君なんだぞ?」 「…あ、煽ってなんか…ねえ…!」 カスティエルは無表情で、ディーン自身に絡めた指を激しく動かす。 「…あっ…あぁ…ッ…出る…キャス…もう…やめ、ろ…出るっ…キャス…ッ…!」 カスティエルの腕を掴もうすとするディーンの手を、カスティエルが無情にも振り払う。 そしてディーンの頬をペロリと舐めて囁く。 「分かってる。 君は指でイかされる時はキスして欲しいんだったな」 カスティエルがディーンの唇を塞ぐ。 ディーンが声にならない悲鳴を上げて、カスティエルにしがみつく。 そして二人同時に達する。 何度こんなことが繰り返されているのか、ディーンにはもう分からない。 カスティエルに身体をしつこく愛撫され、最後に指や口でイかされる。 カスティエルはどんなに懇願しても行為を止めてくれない。 それに人類愛を受け止めると言ってしまった手前、ディーンはカスティエルに従うしかない。 だが今度は違った。 キスをして絶頂を迎える瞬間、カスティエルはディーンの根元をぐっと握り、自分だけ白濁を溢れさせた。 ディーンの身体がピクピクと震える。 カスティエルはそんなディーンを気にする様子も無く、雄の根元を捕まれ仰向けで足を開いているディーンの腰の下に、器用に片手で枕を差し入れる。 そしてディーンのドロドロに濡れた下半身から白濁を指で掬う。 そして冷たく告げる。 「こんなことは君に私の気持ちを伝えてからしたかったが、それは無理だと分かったから、やらせてもらう」 「……キャス…なに…を…」 次の瞬間、ディーンの蕾にカスティエルの人差し指が捻り込まれた。 ディーンの身体が仰け反る。 「…ハッ…!あっ…アアッ…!」 うねうねと中を進む指にディーンがブルブルと震える身体を丸めようとする。 すると中で指が曲げられた。 「アッ…!やめっ…」 「ディーン、大人しく足を開いてろ。 辛いのは君だ」 ディーンは小さく頷くと、諦めたように身体を広げた。 萎えそうになるディーンの雄をカスティエルが指で扱き舐め回し、吸うとより噛む勢いで起立させる。 シーツを掴むディーンの手は力が入りすぎて白くなっている。 そしてまた限界まで大きくされ、根元を掴まれる。 その間にも中の指は探るように動いていた。 するとカスティエルが「ここだな」と言ってゴリッと中を擦った。 ディーンの爪先から頭の天辺に電流のような刺激が走る。 ディーンは喘ぐことも出来ず、ただ瞼を強く閉じるだけだ。 そして深く息を吐こうとした瞬間、ディーンの白濁にまみれた中指が蕾に捻り込まれてきた。 中指は迷うこと無く人差し指と合流し、またそこをゴリゴリと擦る。 もうディーンは何も考えられなかった。 カスティエルに掴まれているディーン自身の根元を解放して欲しい、その思いだけが痛いくらいの快感と共に全身を駆け巡る。 ディーンは涙を零し何度目かの懇願する。 「…キャス…頼む、から…イかせて…頼むから…」 だがカスティエルの答えは三本目の指の挿入だった。 「…ヒッ…!やめ…ッ…」 カスティエルは三本目の指でディーンが感じる場所を擦りながら、バラバラと動かす。 ディーンが真っ赤な頬に涙を流しながら、「…キャス…死ぬ…死んじまう…頼むから…イかせて…イきたい…お願い…キャス…」と譫言のように繰り返す。 カスティエルがディーン自身の根元を掴んだ手を緩め、ほんの少し扱く。 ディーンが「…アアッ…いいっ…」と言って熱い塊が放出されるまさにその時、カスティエルはまた根元を強く掴んだ。 ディーンの瞳が見開かれる。 ディーンは子供のように泣き出した。 「…キャス…お願い…イかせて…キャス…」 だがカスティエルは冷たく笑うだけだ。 そうしてディーンは自分を支配する『男』に懇願する。 「…お願い…イかせて…おねが…あぁっ…」 カスティエルがふいにディーンのおでこにキスをする。 「……キャス…?」 ディーンの霞む瞳に、いつものカスティエルの微笑みが見えた気がした。 そしてディーン雄は解放され、数回扱かれると、中の刺激と相まってディーンは絶頂を迎えた。 ディーンは不思議な夢の中にいた。 いや、『夢の中にいる』と思った。 カスティエルに後ろから抱かれて、いつものようにバスタブで泡風呂に入っているのだ。 折角温泉に来てるのに何でだ…? そうカスティエルに訊きたいが、眠くて眠くて口を開くのも億劫で話せない。 カスティエルがそんなディーンの心を読むように、「君は温泉が良かったかもしれないが、君と肌を合わせた後だから、いつも通りこうして泡風呂に君と入りたかったんだ」と穏やかに言った。 そしてディーンのうなじにやさしくキスをした。 それから独り言のように言った。 「さようなら、ディーン。 私が愛するように君に愛されていないと分かっていても、君の肌に触れ、君に愛されている夢を見るのは幸せだった。 困ったことがあれば、いつでも呼べ。 どんな地の果てからでも君の元へ行く」 さようなら…? 何言ってんだよ、キャス… まだ旅行中だろ… 「君に告白したかった。 でも無駄だと分かった。 酷いことをして済まない」 告白…? クソっ…何で話せないんだ…眠い… そしてまたうなじに、やさしいやさしいキスが落とされる。 「君がキャスと呼ぶ声…好きだったな」 そしてカスティエルの身体は消え、ディーンの背中にバスタブが当たる。 「キャス!おい待てよ!」 ディーンが叫んだ途端、サムのどアップがディーンの目に飛び込んで来た。 「ななな何してんだよ、サム!」 サムが呆れたようにため息をつく。 「何って…わざわざ起こしに来てやったんだよ? あと30分で朝メシだからさ。 完全ジャパニーズスタイルの朝メシだってさ! 楽しみ~!」 「キャスはどこだ!?」 サムが首を傾げる。 「キャスなら昨夜帰ったじゃないか」 「……は?…か、帰ったってお前…」 「天界の元同志から天使のラジオで緊急要請を受けたから一足先に帰るって、昨夜遅かったけど僕とクラウリーに挨拶してったよ。 兄貴にも言っておいたって言ってたけど…忘れちゃったの?」 ディーンがガバッと起き上がる。 「嘘だ!そんなこと聞いてねえ! 大体アイツと俺は…」 そこでディーンがぐっと黙る。 「アイツと俺は? どうかした?」 ディーンがぼぼぼっと赤くなる。 「…夕飯の後、一緒に露天風呂に入った! その時はそんなこと一言も言って無かった!」 「じゃあその後に天使のラジオが聞こえたんじゃない? 兄貴は定番の飲み過ぎでキャスの話を忘れた! はい、一件落着! ほら早く顔洗えよ。 朝メシ、リビングに用意されちゃうから。 遅れるなよ」 サムはそれだけ言うとさっさと部屋から出て行く。 ディーンも素早くベッドから出た。 シーツも自分も清潔だし、Tシャツを着て下着も履いている。 Tシャツを捲ってみるが、昨夜の痕跡は何処にも無い。 だが洗面所に行こうとして股関節がズキッと痛んだ。 足を広げっぱなしだったからだ…! ディーンがあれは夢じゃないと悟る。 それからディーンは大急ぎで洗面を済ませて、クラウリーの部屋に向かった。

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