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第17話

銀座の天ぷら屋に行く前にブランドショップで買い物をしようとクラウリーに誘われ、渋谷で整髪剤を思う存分買い込んだサムは特に欲しい物は無いと答えたが、ディーンは日本固有のブランドショップでネクタイが見たいと言った。 クラウリーとサムがディーンに気づかれないように目配せをする。 クラウリーはそれじゃあと皇室御用達のネクタイ専門店にディーンを連れて行った。 そして一人でゆっくり選んで買った方が良いとクラウリーが提案し、後で天ぷら屋で待ち合わせをしようと、クラウリーとサムはネクタイ専門店の前でディーンと別れた。 ディーンが一人、店に入って行く。 「キャスへのお土産かな…」 サムが心配そうに言う。 「まあそうだろうな。 それにしても今度の喧嘩は何だ? 昨夜露天風呂であんなことしといて」 「露天風呂?」 サムをこごまらせ耳にコソコソと囁くクラウリー。 サムがパッと赤くなる。 「マジで!? しかもクラウリー…覗き見してたのか!?」 「マジもマジの大マジだ。 それに覗き見なんて人聞きの悪い。 何か不穏な空気を感じたから、点検に行っただけだ。 この旅行はクラウリー旅行会社主催だからな。 お客様に何かあったら困るだろう」 肩を竦めてペラペラと喋るクラウリーに冷めた視線を送るサム。 「ただ単にお前の趣味だろ…。 それから二人はどうした?」 「パッと消えてしまった。 部屋に移動したんじゃないか? 声は聞こえなかったから、そこまで分からん…って、サムも好きモノだな~」 「違う!兄貴を純粋に心配してるんだ!」 「はいはい分かった分かりました~。 それにしてもキャスのヤツが羨ましい。 ディーンのマシュマロみたいな尻をこうガバッと掴んだりしてさ。 ディーンの尻って服を着ている時と全然別物だって、お前知ってたか?」 サムが眉間に皺を寄せ額に手を当てる。 「…クラウリー、気持ち悪いことを言うな…! それとディーンに手を出したら殺すからな!」 「はいはい分かりましたー。 まあソープランドでアジアンビューティーとよろしくやれば、ディーンも復活するだろうよ」 「…そうかなあ」 「お前も思い切り楽しめば良い。 後はクラウリー旅行会社に任せとけ!」 うーんと唸るサムと今にもスキップしそうなクラウリーは、夜の銀座の街を天ぷら屋に向かって歩いて行った。 サムとクラウリーが貸し切りの天ぷら屋に着いて間も無くディーンもやって来た。 ディーンは手ぶらだったが、二人は何も言わなかった。 天ぷらのコース料理とシャンパンで三人は盛り上がり、笑いが耐えない中、料理も酒も進んだ。 ただ誰もカスティエルのことは話さなかった。 そして満腹でほろ酔いの三人は天ぷら屋を後にした。 目指すは歌舞伎町の超高級ソープランドだ。 勿論、ここもクラウリーが貸し切りにしてある。 次元の空間を通った結果、インパラで銀座から新宿の歌舞伎町まで1分もかからなかった。 ディーンがエンジンを切りながら「いくら何でも早く着き過ぎじゃねえか?」と言うと、クラウリーが後部座席から身を乗り出し「夜は短い。特に楽しい夜はな」と言ってディーンとサムの肩をポンポンと叩き、目の前にある一見ゴージャスなシティホテル風の建物に入って行く。 ディーンもサムもクラウリーの後を続くと、玄関に当たる部分は外から見るよりもかなり広く、その先は赤絨毯が敷きつめられている。 クラウリーが靴を脱ぎ、玄関先に置かれた三足の黒いスリッパの一つを履く。 ディーンとサムもそれにならう。 すると奥からディーンと同じ位の背丈の黒いスーツを着た渋い中年の男が満面の笑みで現れ、「ようこそクラウリー様!本日はありがとうございます」と言って深々とお辞儀をする。 クラウリーは悠然と「今日は私の大切な友人を連れて来た。分かっているよな?」と応える。 黒スーツの男は満面の笑みを崩すこと無く、「勿論でございます。今夜はお三人様でお好きなだけお楽しみ下さい」と言って三人を奥へといざなう。 そこには豪華な黒いソファがコの字型に並んでいた。 そしてテーブルの中央には花がふんだんに飾られ、メニューのような物が三冊置かれている。 クラウリーが一番奥のメニューの前に座り、ディーンとサムもそれぞれメニューの前に座った。 すると黒スーツの男がスコッチの入ったグラスを三人に配り、一礼する。 「ウィンチェスターご兄弟様、初めまして。 当館の支配人をしております山岸と申します。 お会いできて光栄です。 今夜は当館のトップ10の女の子を揃えてございます。 お好きな子をご指名下さいませ。 普段は禁止しておりますが、複数で楽しむこともご自由にどうぞ。 では女の子が決まりましたらベルをお鳴らし下さい」 山岸がまた一礼して下がろうとすると、ディーンが「じゃあ俺はナンバー1の子で」と素っ気なく言った。 クラウリーが「おいおい、ナンバー1だからってディーンの好みのタイプかどうか分からないんだぞ?メニューをちゃんと見ろ」と慌てて口を挟む。 だがディーンは「興味ねえ。ナンバー1の子だ」と言ってスコッチを飲み干す。 クラウリーは「じゃあサムはどうする?」と、ソファに座ってから真剣にページを捲っているサムに訊く。 サムは「よし…決めた!沙也加ちゃんにする!」と言うと、気合いを入れるようにスコッチをぐびぐびと飲む。 「クラウリー様は愛美でよろしいですか?」 山岸の問い掛けにクラウリーがにっこり笑ってスコッチを一口飲む。 「山岸は本当に有能だな。 私のお気に入りを忘れないとは。 勿論、愛美だ」 山岸がまた一礼する。 「ではお部屋にご案内致します。 クラウリー様は私が。 ウィンチェスターご兄弟様は、黒服がそれぞれご案内致しますので」 その言葉通り、いつの間にか山岸の後ろに二人の黒服が控えていた。 黒服が真っ白な扉をノックする。 「クラウリー様のご友人のディーン・ウィンチェスター様をお連れしました」 すると金色のドアノブが回り、扉が開く。 そこには黒髪のストレートロングに、パステルブルーのベビードール風のドレスを着た人形のような女の子が立っていた。 ほっそりとしたスタイルの良い身体に、ドレスの胸元からはみ出さんばからりの巨乳で、透けるような白い肌に黒目がちの大きな瞳。 女の子は「嬉しい!さあ入って!」と言って、小枝のように細い指でディーンの手を引く。 黒服が一礼して去っていく。 女の子はニコニコと笑顔で「ディーン様。私は桃香っていうの。あ、知ってるわよね」と話しながら慣れた手つきでディーンの服を脱がしていく。 そしてディーンが下着一枚の姿になると、「あ!いけない!ディーン様、何かお飲みになる?」と訊いてくる。 ディーンが「何もいらない。それとディーン様は止めてくれ。ディーンでいい」と言うと、桃香はぱあっと花が咲くように笑い「嬉しい!ディーン、あなたとっても素敵。いいわ、当ててみせる。俳優さんでしょ?超イケメンだもん」と無邪気に言いながら、ディーンの目の前で見せつけるように、一枚、また一枚とドレスを脱いでいく。 そして最後にTバックを脱いで裸になると、「ディーンも脱がしていい?」と甘えた声を出した。 ディーンが「好きにしろ」と一言言うと、桃香が跪き、ディーンの下着の上からディーンの雄にしゃぶりついた。 そして「あん…おっきい…素敵…」と言いながら、ディーンの足から下着を脱がせる。 そして微笑むと「ディーンはこういう所、初めて?」と訊いてくる。 ディーンが「ああ」と答えると、「やっぱり!本当は緊張してるでしょ?だって全然興味無さそうだもん。それって緊張の裏返しなのよね~。でも緊張なんてしなくてもいいの。私が全部やってあげるから」と言ってディーンに抱きつく。 ディーンがぐいっと桃香を引き離す。 桃香は「そんなに焦らないで。こっちに来て…」と言って歩き出す。 ディーンがかったるそうに後に続く。 そこには椅子とマットがあり、隣にバスタブもあった。 「ディーン、椅子に座って」 そう言いながら桃香は手を休めず、ピンク色の洗面器で泡を立てている。 十分に泡が立つと桃香が「私が手で洗ってあげる。ディーンは何もしなくていいの。気持ち良くさせてあ・げ・る。こんなことは序の口だけど」と言ってふふっと笑い、泡を両手で掬う。 まずは背中に泡を広げられる。 ディーンは歯を食いしばっていた。 桃香はそんなことは露とも知らず、背中、両腕、脇の下、身体の正面と、上半身を隅々まで手の平から指の全てを淫らに使い、どんどん洗い進める。 すると桃香の手がディーンの身体を洗い始めてから、初めて止まった。 「嘘…まさか気持ち良くないとか…?」 桃香の視線はディーンの萎えた雄に釘付けになっている。 そして「こんなこと有り得ない!ディーン、そんなに緊張しなくてもいいのよ?」と早口で捲し立て、洗面器から大量の泡を掬いディーンの雄を包もうとした。 その時、桃香のか細い指がディーンの雄を掠めた。 ディーンが「触んな!」と怒鳴る。 「…ディーン…?」 桃香がさっと手を引く。 ディーンが叫ぶ。 「キャス! 俺をここから連れ出してくれ! 気持ち悪いんだ! こんなとこ1秒だっていたくない! キャス、助けてくれ!」 ディーンが叫び終わった瞬間、雷が落ちるような爆音が轟くと同時にソープランドの建物が地震にあったように揺れ、館内の全ての明かりが消えたのだった。

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