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恋_參
噛みつくような口づけに晋は目を見開く。違う、望んでいるのはこれじゃない。
忠義に殴ってほしかった。そして永遠に目覚めなど来ないようにしてほしかったのに。
「う、んんんッ」
やめろと首を振って忠義をどかそうと腕を動かすが掴まれて片手で抑え込まれてしまう。
口づけは更に深さをまし、唇をこじ開けるように舌が入り込む。
歯列をなぞり舌を絡ませ、薄らと開く唇からは唾液が流れ落ちる。
「んふッ」
怒りと共に別のモノを含んだ瞳は一心に晋を見つめ。その視線と口づけが相成って思考が蕩けはじめる。
力が抜けて忠義の舌に応えるように自分も舌を絡めた。
水音と共に吐息がきこえる。
晋が口づけに感じているように、忠義も感じているのだろう。
それから息が乱れるまで口づけてから唇が離れ、晋の濡れた唇を忠義の指が撫でる。目も普段の忠義が見せる穏やかなものとなっていた。
「自暴自棄な目をしていたから、晋さんが俺を怒らせようとしていると、そう思ってな」
殴り合いをしたかったのかと、そう問われて首を振る。
「殴り合いじゃない。俺を殴って欲しかっただけだ。お主に本気で殴らて目覚めなど二度と来なければ……」
その言葉に肩を震わせ、忠義の手が晋の頬を張り。じんとした痛みと熱を感じる。
「晋さんに何か辛いことが起きたのだろうことはこの頃の貴方の様子を見ていて何となくわかっていた。だがな、目覚めなど二度と来なければとか、そいういうことは言わないでくれ」
俺が傍にいるからと、晋を強く抱きしめる。
「すまん、忠義」
自分を想い叱ってくれたり優しくしてくれる人が傍にいるというのに、その相手に自分をどうにかさせようとしていた。
なんて馬鹿な奴なのだろうか自分は。
「もう、変なことは考えぬよ」
とそう忠義に言うとその腕を回した。
頬に忠義の胸が触れ、暖かさと張のある肌が気持ち良くて頬を摺り寄せれば、忠義が身を起こしてあたふたとしだす。
「……晋さん、もう服を着ても良いだろうか?」
そうだった。屈辱的な恰好をさせて怒らせようとしていたので忠義は全裸のままで、手であの部分を隠している。
「今更、恥ずかしがることもあるまい。それに立派なモノを持っておるのだ。堂々としろ」
忠義の手を掴もうとすれば、それを拒むように忠義が一歩さがると晋に背を向けて服を身に着け始めた。
「なんだ。折角だし、もう一度お主の巨根を拝んでおこうと思ったのに」
残念だと言えば。
「な、拝むって!」
そう狼狽えながら忠義が顔を振り向かせる。その表情は照れていて真っ赤になっていた。
「ははは。照れておるのか? 可愛いな、お主」
と、からかうように晋は笑った。
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