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青波さん
「あの、みなさん〜私のこと、お忘れではないでしょうか?」
甲高い声と女口調の言葉が聞こえてきたので、悠貴は自分の席の隣を見る。
黒いギザギザ頭で切れ長の目に尖った鼻
、全体的に薄い唇が細長い輪郭に収まっている青波さん……里田青波 がジトっと見ていた。
「忘れてたわけないじゃないっすか、青波さんのこと」
自分の席に素早く座り、ニコニコと笑顔を見せる悠貴に嫌そうな顔をする青波さん。
「近づかないで、そしてその口調やめなさいよ」
「俺の方が先輩っすもん……新人さん♪」
「なっ、私の方が年上ですわよ!」
青波さんは年上の新人……そして一応男だ。
しかし、この人も只者ではない。
「で、どうだったんすか? eスポーツの大会は」
「もちろん、優勝に決まってるじゃないの」
みんなにおめでとうと拍手をされた青波さんはいやいやと言いながら勝ち誇った顔をしていた。
青波さんはプロのeスポーツ選手……以前はゲーム会社にいたが、スポーツに専念するために半年前に入社したのだ。
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