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父はドM野郎:5

 日常的な場所での行為が父の興奮を呼ぶらしい。  残された映像からうかがえた、確実な事実はそういったものだった。    俺がリビングで勉強をしている最中にキッチンでふたりで料理を作っていたことがある。  そんなときの映像も残されている。    スーツの似合うキリっとした凛々しさなどない快楽に蕩けた父の顔。  これは母の名前を呼びながらしている悲壮感漂うオナニーとは全然違う。幸せそうだ。    母に触れられることを悦び、母に触れられないことを悦び、母のために生きていくことを父は心から喜んでいた。    これ以上に幸せな夫婦などいないのかもしれない。  完璧なものが過去に変わってしまったことが悲しい。  俺の両親は最高だと断言したくなるほど、ふたりの間に強い信頼が見える。  信じていなければチンコに棒など入れられない。    父が母といることでどれだけ満たされており、母を失ったことでどれだけの傷を負ったのかよくわかる。    掲示板の中で心配されていた通り、父は自分一人では満足できない人間だ。自分だけで自分を保てない。他人の目を必要とする。そういった性癖だ。射精できればいいというものじゃない。    今はオナニーで精神を落ち着かせようとしているが、それもいつまで続くか分からない。ギリギリの状態だ。父は間違いなく他人に犯されたいと思っている。そういうタイプの人種だ。そこは否定しても始まらない。自分の父は、男らしくて格好良くて理想の父親だと言いたいが、現実はこれだ。見なかったことにしても真実は変わらない。母はそれを分かっているからSではなくても父の行為に付き合ったのだ。父の性癖を受け入れて快楽で精神を浄化していく手伝いをした。    父は危うい。  放っておけば変な人間に騙されたり、犯されたりするかもしれない。  父の貞操観念を疑いたくはないが、信じきることもできない。  パソコンの中にある父の動画は母に尻を拡張されてお礼を言っていたり、責められ続けて喘ぎすぎて喉を潰しかけていたり、叩かれて幸せそうに失禁している。    父の中に壊されたいという願望があるようで、乱暴に扱われることを強く望んでいた。    男として目を覆いたくなる、股間を蹴るというやりすぎた行為は二人の中ではよくあったのか父は怯えて逃げることもなく母のむち打ちを受けていた。    とくに衝撃的だったのは、母が俺を妊娠している最中の動画だ。  母は容赦のない打撃を加えていた。  二人目が欲しいのかと聞きながら父の股間を蹴り飛ばす母。  股間を押さえて身悶えながらも父は勃起したままだった。蹴られて悦んでいる。  俺に兄弟がいないことを考えると父の精子はこのときに死んだのかもしれない。  それでもきっと母によってされたことだと思えば父にはご褒美なのだろう。    両親の過去を知ることで二人がどれだけ愛し合っていたのか再認識できた。  それは良かったが、M野郎である父を野放しにはできない。  母にペニスバンドで犯されて悦んでいる父が、性欲に負けて適当な男をくわえこむ可能性がある。  相手が女性ではないから母に操を立てたことになると父は本気で考えそうだ。自分の性癖から父は逃げられないだろう。  父を放っておくべきか、協力してやるべきか、選択肢があったことは俺にとって不幸中の幸いだ。    何も知らない内に父が男と乱交などしていたら絶対に許せなかった。  母との行為は夫婦のものとして考えられるが、他人に肌を許すとなると裏切りだ。見過ごせるはずがない。  父のことを関係ないなんて思えない。二人だけの家族だ。真実から目をそらして、後悔するのはごめんだ。

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