19 / 29
第19話【BB(前編)正午 下 *】
BBがマグロを引っ張ってやって来たのは、一階と二階を繋ぐ階段の、踊り場だ。
BBは壁に手を付け、自分を犯す後輩を振り返った。
「は、んっ! ふふっ、何やの、その顔……?」
――BBを犯しているのは、マグロだ。
マグロは訳も分からず、BBに言われるがまま、BBを犯している。この行為に、何の意味があるのか分かっていないマグロは、眉間にシワを寄せてBBを見ていた。
八つ当たりの方法がセックスだなんて……自分の行動基準がセックスだということを痛感し、BBは思わず笑みを浮かべる。
「嫌やわぁ、あっ! んっ、僕は君の……憂さ晴らしに、付き合ってるんやで?」
「『憂さ晴らし』……です、か……?」
「せやで……んっ」
腰の動きは止めず、マグロがBBに訊き返す。BBはそんなマグロを見つめたまま、吐息交じりに答えた。
「傷付けたく、ないんやろっ? でも、納得できひん……んっ! せやから、こうして僕が――」
「それは、違います」
マグロは、ハッキリと口にする。
先程まで戸惑ったような表情を浮かべていたマグロは、真剣な眼差しでBBを見た。
「オレは……自分の悩みを打ち明けて、ショタに……嫌われたく、ない……っ」
マグロはそう言うと、BBの細い腰をしっかりと掴み直し、乱暴にペニスを突き穿つ。
その感覚に、堪らずBBは体を震わせた。
「何、それっ、んっ! そんなん――」
「ゴリ課長だって、同じだと……思い、ます」
予想外の人物に、BBは目を見開く。
――マグロもまた、ゴリが何かに悩んでいるのを……知っていたのだ。
「嫌われるのが怖いから……幻滅されたくないから……オレ達は言えないんです……ッ」
マグロの腰遣いが、より一層激しいものとなる。
――まるで、八つ当たりをされているかのような、腰遣いだ。
「あ、あっ! ん、やっ!」
何度も奥を突かれ、BBは断続的な悲鳴をあげる。
自分の意思とは裏腹に、BBのペニスは先走りの液を、踊り場に垂らす。そんな様子を眺めながら、BBはぼんやりと考えた。
(幻滅なんか、せぇへんのに……っ)
生理的な涙なのか、はたまた別の理由からの涙なのか……BBは、踊り場に涙を零す。
――それでも、体は快楽に貪欲だった。
マグロのペニスはどんどん硬度を増し、それに呼応するように、BBのアナルがキツく締め付ける。
「あ、ぁんっ! まぐっ、ろちゃ、ひゃっ!」
「……ッ」
マグロは眉を寄せ、何も言わずにBBのアナルへ、自身のペニスを突き刺す。
「ひぁあっ! あぁっ!」
奥にマグロの熱を感じ、BBもつられて射精する。ドクドクと脈打つペニスに、BBは締め付けで応じた。
射精を終えたマグロのペニスが素早く引き抜かれると、BBは肩で息をしながら、その場に膝から崩れ落ちてしまう。
逃げるように階段を上がっていくマグロを、BBは追い掛けない。去って行くマグロを、ただただ……目で追い続けた。
ともだちにシェアしよう!