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第21話【BB(後編)夜 中 *】
自身を振り返ったBBを見て、ゴリは目を伏せる。
「……すまない」
「それは、何に対しての謝罪?」
責めず、焦らせず、真摯に……BBはゴリを見つめた。
伏せていた目を、ゴリがBBに向ける。
――そして、おもむろに抱き締めた。
「情けない姿を、見せたくなかった……お前さんに、ガッカリされたく……なかったんだ」
自分より逞しいゴリの体は、小さく震えている。
ゴリの広い背中に、BBは腕を回す。
「僕に嫌われるかもって、不安?」
「あぁ……」
「しょうがない人やね」
BBはそう言い、ゴリの耳元に唇を寄せた。
――そして……絶対的な親愛の言葉を、口にする。
「僕の名前は、東屋敷 彩羽 や」
BBの言葉に、ゴリが目を見開いた。
互いに本名を明かさないのは暗黙の了解……業務内容のせいで、プライベートを壊さない為だ。
――その壁を壊してしまう程、BBはゴリを愛している。
――これは、処理課の職員にだけ分かる……愛の言葉だった。
「B――」
「いけずやな。名前で呼んでくれへんの?」
「自分が何を言ったか、分かっているのかッ!」
肩を押され、距離を取られる。それでもBBは、後悔なんかしていなかった。
BBは悲しげに、ゴリを見上げる。
「むしろ……分かってくれへんの?」
名前を伝えること……それはBBができる、最大の愛情表現だった。
ゴリは何度も口を開き、そして閉じて……BBのことをもう一度、抱き締める。
「……すまない、彩羽」
耳元で囁かれた名前にBBは笑みを浮かべ、抱き締め返した。
今朝、ショタとマグロが体を重ねたシャワー室で、今はBBとゴリが体を重ねている。
細くしなやかなBBの体をゴリは抱き上げながら、深々と貫く。
BBは嬌声のような声をあげながら、ゴリにしがみついていた。
「ふぁあっ! あっ、んっ! ほんと、君って……あほやね、ぁんっ!」
ゴリが悩んでいたのは、自分には誰かの相談に乗る資格が無いんじゃないか……という内容。それに対して、BBは犯されながら文句を言う。
「そんなん、あっ! 君が気にすることじゃ、ひぁっ! ない、やろっ」
「どういう意味だ?」
「んっ! や、動き……止めちゃ、やぁっ」
BBは強請りながら、ゴリを見つめる。
ゴリはBBの体を抱え直し、深いところにペニスを突き挿れた。
「ぁあっ! は、んっ! 君に相談、してるのは……君が、いいからやろっ」
「俺が?」
「せや、あっ! 君が、君やから、皆……君が、いいんよっ」
――ゴリに相談する人は、キャリアを重視しているんじゃない。
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