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「このままで良いです」
取り尽くしまもなく、風見の手がシャツのボタンを外していく。濡れた感触が首筋に触れた。
「で、でも、汗掻いたから」
「だったら俺が拭ってあげますよ」
言うなり首筋から下へと風見が降りていく。所々で強く吸われ、小さな痛みが走った。
「あっ……だ、だめだって」
頭を押しやろうとするも、甘く胸の突起に吸い付かれ思わず力が緩む。
「可愛いですね。想像していたよりもずっとピンク色をしている」
恥ずかしげもなく言ってのける風見は、夢中で胸を舐め回している。
「……そんなこと言わないでくれ」
恥ずかしさから目元を腕で覆う。視界が閉ざされたせいで、余計に神経が敏感になってしまう。何度も喘ぎ、首を横に振る。久しぶりの快楽は身に余る程に強烈だった。
スラックスと下着を一緒に降ろされ、熱が外気に晒される。羞恥を感じる前に、風見の手が昂りを宥めるように擦った。
「んっ……あっ……」
先端をグリッと抉られ、愛液が溢れ出る。体が震え、たまらず腰が浮く。
「いつも綺麗だなって思ってましたけど、こうやって身悶えている水嶋さんも凄く艶っぽいですよ」
うっとりした目で見つめられ、水嶋は唇を噛む。
自分は綺麗だと称賛されるような人間ではない。風見のほうがずっと美男子と呼ぶにふさわしい人間だ。
それに自分みたいな冴えない人間より、もっとスペックが優れた人間はいくらでもいる。そう思い至り、胸に黒い膜が覆っていく。
これはきっと夢なのかもしれない。見つめる熱い目も、甘言を吐く唇も。全ては普段、自分が得ることの出来ない願望が淫夢として現れたのだ。
「風見くん」
水嶋は腕を風見の首筋に回す。風見が少しだけ驚いたように目を見開いた。
「早く、抱いてくれないか」
愛撫ばかりで一向に、彼の熱を受けていない。このまま夢から覚めてしまうのは悔やまれる。
水嶋は自ら唇を重ねつつ、風見のスラックスのベルトに手をかける。
ゆっくりとファスナーを下ろすと、すでに興奮に下着を押し上げていた。僅かに湿り気のある布越しに掌を這わせると、風見の息が僅かに上る。
「積極的な水嶋さんも好きですよ」
風見は嬉しそうな笑みを浮かべる。
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