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「構わないよ」
逃れられない状況に内心は肝を冷やしつつも頷く。
ここで駄目だと言ったら、あからさまに避けていると言っているようなものだった。
「シャワー借りますね」
風見が立ち去り、緊張の糸が少しだけ緩む。深く息を吐き、机に肘をついて手のひらで顔を覆う。酔いのせいかやたらと体が熱い。
ウトウトとしていると、熱を持った手が肩に触れた。
「水嶋さん。ベッドに行きましょう」
促されて立ち上がるも寝ぼけているのせいか、少し足取りが覚束ない。
肩を抱かれたまま寝室へ足を踏み入れる。ベッドに横たわると風見が上から覆い被さった。
「きょ、今日は駄目だ」
まだ気持ちの整理がついていない。そんな状態で行為に及ぶきにはなれるはずがなかった。
けれども押し返そうにも、酔いのせいで思うような力が出ない。
「どうしてですか? 水嶋さん」
風見の手が水嶋の下腹部に触れる。形を辿るようになで上げられ、水嶋は堪らず声を上げた。
「まだ触ってもいないのに、もう勃っているじゃないですか」
「それは酔っているからで――」
水嶋が言い訳をすると風見がああ、と言って笑う。
「初めて作ったので、少し強かったかもしれませんね」
一向に手を止める気はないようで、衣類の上からのもどかしい刺激に唇を噛む。
「水嶋さんが悪いんですよ」
冷たい口調とは裏腹に、熱を持った唇が押し付けられる。
「んっ……」
心が揺れているにも関わらず、風見の与えてくれる甘い刺激に拒む気力を失ってしまう。追い打ちをかけるように、顎を捕まれ激しく口腔がかき乱された。
「ぁ……はぁっ……」
唾液が流れ込み、嚥下する。
もっとほしい。求めるように力の入らない手で風見の首にすがりつく。頭がぼんやりとかすみ、さっきまでの躊躇いすらも霧散していた。
風見に甘く舌を吸われ、噛まれる。体が震え、じんわりとした熱が広がる。
「ッ――あっ……」
脈打つ感覚に、恐る恐る下腹部に視線を向ける。盛り上がっている部分に黒い染みが広がっ
ていた。
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