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恋人はハッキリ言うのが好き1-1 会長視点

 予想以上に吉武はこじらせていた。  幼なじみとして俺にも責任があるかもしれない。  知らないところで珠次に迷惑をかけていたのもショックだ。    吉武が俺に執着している理由がよくわからない。  気の迷いなら引きずる必要はないはずだ。    親愛表現にしても蹴ったり殴ったり悪口を言ってくる吉武相手に恋をするのは珠次が居ても居なくても無理だ。  それが分からないほど自分に自信があったんだろうか。謎だ。    珠次がいない生活は不安と淋しさがあるが、吉武がいない時間は俺にとっての平穏だ。    積極的に吉武を避けようとも思わない。  嫌いではなくても今以上の関係になろうという気持ちはない。    以前は兄がその親友を隣に置くように俺の隣も親友である吉武がいるものだと思っていた。  けれど、兄とその親友が居なくなった虚無感に病んでいる俺に苛立ったり情けなく思う吉武とは一緒にいるのがつらい。  どうにかして俺の意識を兄たちから反らせようとする吉武が煩わしかった。どんな提案をされても俺の中から兄を消すことはできない。消したくないと決めてしまっていたから、俺の中の兄を邪魔扱いする吉武こそが邪魔だった。  手の届く場所にいる吉武と見当たらない兄を比べて俺は兄を取った。  薄情だと責められても変えられないのだから、吉武は俺を好きでいるべきじゃない。  吉武を幼なじみ以上に思って大切にしようとする気がない。    根本的な部分で俺と吉武は意見が合わず噛み合わない。    面倒な友人ぐらいの立ち位置でしかないので恋愛対象にする日は永遠に来ない。  俺と吉武しか世界に居なくなっても吉武に性愛をむける自分が想像できない。そのレベルだ。  こうした俺の考えは幼なじみだからこそ吉武にはわかりそうなものだ。  俺の本心を認めたくないほどに俺を好きだというよりも吉武のことだから意地になって、その時間が長くなりすぎた。  

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