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第17話【確信(中編) *】
椎葉のことを、傷付けたいわけじゃない。真駒の持つ性癖は、望んで得たものじゃなかった。
椎葉にどれだけ責められようと、椎葉にどれだけぞんざいな扱いをされようと、それでも真駒は椎葉を求めていたのだ。
罪悪感と、欲求を満たせる優越感と、体の痛みから……涙で歪む表情を椎葉は笑顔で受け入れてくれた。
――だから真駒は、椎葉を好きになってしまったのだ。
いつから椎葉の好意的な言葉に喜びを得ていたのかは、真駒自身にも分からない。
例え泣き顔だけだとしても、椎葉が他の人に『好き』と囁く姿を、真駒は見たくないのだ。
「う、ぅ……あ、あぁ……ッ」
真駒は自身の首元から手を離すと、天井を仰ぎ見ながら……慟哭し続けた。
アパートに辿り着いた真駒は、後ろからの呼び声に体を震わせる。
「真駒君、お疲れ様」
「ッ!」
いつの間にか背後に居たのは、椎葉だ。椎葉はいつも監視でもしていたのかと思うタイミングで、真駒のアパートに訪れる。
真駒は扉を開けて、椎葉を中に招き入れた。
すると、椎葉の眉間に皺が寄せられる。
「……その首、どうしたの?」
「え……?」
椎葉の視線が注がれているのは、血だらけになった真駒の首だ。真駒は慌てて、自身の首を片手で隠す。
椎葉が本坂と交際を始めたら……そんな不安から、むしゃくしゃして掻きむしった……とは、勿論言えない。真駒は椎葉から視線を逸らして、俯く。
それを見て、椎葉が忌々し気に舌打ちした。
「何それ……酷いなぁ」
「え――ぅあッ!」
突如、真駒の視界が回る。それは椎葉によって玄関先に押し倒されたからだと気付くのに、時間はかからなかった。
思わず声をあげた真駒に対し、椎葉は乱暴な手付きで真駒のワイシャツに留められているボタンを、引き千切る。訳も分からず、真駒は上半身を露出させられた。
「やっ、課ちょ――痛ッ!」
「痛い? そっか」
「やだ、いやッ、痛いです、あッ!」
傷だらけになった真駒の首筋に、椎葉は顔を近付けると……おもむろに歯を立てたのだ。力任せに歯を立てられ、真駒の両目からは涙が溢れる。
そんな真駒に構うことなく、椎葉は慣れた手付きで真駒のスラックスを脱がしていくと、下着も剥ぎ取った。
それが何を意味するのか……気付くと同時に、真駒は体を硬直させる。
「や、やめ――」
「酷いね、君は」
冷たく呟いた椎葉は硬く反り立った逸物を、真駒の制止も聞かず秘所へと乱暴に突き挿れた。
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