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第26話【衝動(前編) *】
初めての感覚に、真駒は戸惑う。
体を震わせることしかできず、自分の意思とは関係なく漏れ出る切なげな吐息が、真駒の羞恥心を更に煽った。
「は、ぁ……ん、やぁ……っ」
身をよじると、上に覆いかぶさるようにして真駒を抱き締めている椎葉が、心配そうに眉を寄せる。
「痛い?」
「い、痛くは……ない、です……けどっ」
「『けど』……何?」
震える真駒の秘所には、椎葉の指が三本、深々と挿入されていた。その指は、まるで内側をほぐすようにゆっくりと、真駒を攻めたてている。
真駒は両目に涙を浮かべながら、椎葉を見上げた。
「へ、変な……感じ、です……っ」
「嫌?」
「嫌じゃ……ない、です……んっ」
指で奥を擦られると、体が勝手に跳ねる。喉からは勝手に甘ったるい声が出てしまい、真駒は堪らず首を横に振った。
「や、ヤッパリ……嫌、嫌です……っ」
認めたくはないが、真駒は肛門を指で弄られて――感じてしまっているのだ。普段の乱暴で快楽を伴わない性交とは違う優しい交わりに、真駒はひたすら戸惑う。
顔を羞恥で赤く染め、潤んだ瞳で見つめてくる真駒を見て、椎葉は意地悪く口角を上げる。
「嘘吐き」
「ぁ、んっ!」
「僕の指……気持ち良さそうに、咥えてるでしょ? 嫌がってるようには見えないな」
椎葉の指が奥をかすめる度、真駒の体は小さく跳ねた。衣類を身にまとっていないせいで、勃起した逸物だって椎葉には見られている。
真駒は恥ずかしさから、遂には泣き出してしまった。
「い、嫌……ん、あっ」
「可愛いね……もっと虐めたくなる」
「あ……っ!」
椎葉の指が引き抜かれた刹那、硬く反り立った椎葉の逸物が押し当てられる。今までの性交を思い出し、真駒は青ざめた顔をして椎葉を見上げた。
「い、痛いのは……嫌、嫌です……っ」
先端が挿入され、真駒は無意識のうちに体へ力を入れてしまう。それに気付いた椎葉は、震える真駒の額にキスを落とす。
「優しくする……僕を信じて」
「……っ」
椎葉の優しい眼差しに、真駒は小さく頷く。
敷布団を握っていた真駒は、椎葉の首へと手を伸ばした。
「手……添えても、いい……ですか……っ?」
「勿論、構わないよ?」
そう言って笑う椎葉は、ゆっくりと腰を落としていく。
「……ッ、んっ!」
正直、真駒は椎葉と繋がることが怖かった。今まで椎葉に犯されて、痛くなかった例がないからだ。
――だからこそ、真駒は戸惑った。
ゆっくりと挿入される椎葉の逸物を、愛おしく感じてしまう。そんな自分自身に、真駒は驚く。
息を呑んだ真駒を、椎葉が心配そうに覗き見る。
「痛い? 痛かったら、一度抜こうか?」
「ぬ、抜いちゃ、嫌です……っ!」
真駒は慌てて椎葉の首を両手で握ると、すぐさま手を離した。
まるで、犯されることを待ち望んでいるかのような発言。恥ずかしさから真駒は、両手で顔を隠す。
――瞬間、椎葉の逸物が奥深くまで突き挿れられた。
「ひゃあッ!」
「あ、ごめん……つい」
「何で……いきなり――んッ! ぁあッ!」
暴力的ではないが突然、椎葉が激しく体を揺する。痛みは感じないけれど、荒々しく腰を突き動かされて、真駒は指の隙間から椎葉を見上げた。
――そこで、真駒は更に顔を赤く染める。
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