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12.儚い夢

「あ……はぁ……」 志郎が後ろから首筋に舌を這わせるだけで、剣治は立ったまま、簡単に息を熱くする。 裸に剥いた剣治の上体に指を滑らせ、胸を飾る小さな粒を摘まみ、コリコリと転がす。 それだけで、剣治の身体はピクピクと震え、悩ましげに身悶えた。 声を出さないように片手で口を覆う剣治が、快感に目元を潤ませ、志郎はクスクスと笑う。 「剣治、声……聞かして……?」 わざと耳元で囁いた志郎に、顔を紅潮させた剣治は、イヤイヤと首を振る。 「け~んじ?」 志郎はなおも剣治の耳に囁き、触れるか触れないかの所で舌を動かし、不意討ちのように軽く耳を噛む。 「あぁっ……っ!」 思わず声を上げた剣治は、背中を仰け反らせ、プルプルと身体を震わせた。 「やっと、声出してくれたな?」 「だ、だって……みんなに聞かれちゃ……」 恥ずかしそうに口元を覆う剣治に、志郎はまたクスクスと笑った。 「へーきだって。親父が、この部屋に防音の魔法かけてくれたから」 「で、でも……」 顔を真っ赤にして恥ずかしがる剣治を、志郎は後ろからギュッと抱き締める。 「大丈夫だって……それとも、俺に抱かれんの、やっぱ嫌……?」 剣治は首を横に振った。 「嫌じゃない……嫌じゃない、けど……」 「けど……?」 「……こんな……気持ち良いなんて、その……」 尻すぼみに呟き、モジモジとする剣治を、志郎はクスリと笑った。 「そんな感じてくれたんだ……? 可愛い、剣治」 「なっ……か、可愛くなんか……っ!」 剣治の弱い首筋を志郎が舐めてやると、ピクンと反応した剣治が、熱いため息を漏らす。 片手で胸を弄る志郎は、もう片方の手を静かに下へ滑らせる。 「あ……し、志郎、そこは……」 戸惑う剣治を余所に、志郎はズボンの上からギュッとモノを掴んだ。 とっさに息を呑んだ剣治が、ひときわビクンッと震える。 「硬くなってる……窮屈だろ?」 「ふあぁ……そんな……ダメぇ……」 剣治の弱々しい抵抗を片手でかわしながら、志郎は器用にベルトを外す。 身体の中心でテントを張るそこは、パンツ越しでも、すでにじっとりと濡れていた。 志郎が指先で形をなぞるように扱けば、剣治の身体は面白いほどビクビクと、良く跳ねる。 「うあ……はぁ……!」 もう剣治の足はガタガタと震え、志郎が支えていなければ、すぐにも倒れてしまいそうだ。 志郎はクスッと笑う。 「直に触ってる訳じゃねぇのに、そんな気持ち良いのか?」 膨らみを覆うように手を這わせたまま、親指だけを中に入れ、すでに上向く高ぶりの先を抉る。 「あぁッ……!」 甲高い嬌声を上げた剣治が、ビクッと震えた。 志郎は親指だけで先端を撫で回し、溢れてくる愛液を塗り広げる。 「ふあぁっ……だ、ダメぇ……」 恍惚とした顔で喘ぐ剣治は、もう少しで達してしまいそうなほど、プルプルと自身を震わせた。 志郎はふっと高ぶりから手を離す。 「ふえ……? な……なんで……?」 もう少しでイきそうだったのに、急に止められた剣治が、すがるような艶やかな顔で振り返る。 志郎は極上の獲物を狙う狼のように、ペロリと下唇を舐めた。 「一人だけ気持ち良いなんて、ズルいだろ? そろそろ、俺の事も気持ち良くしてくれよ……」 志郎が耳元で低く囁いてやると、ゾクッと震えた剣治が、恥ずかしそうに小さく頷く。 「えっと……どう、したら良い?」 おずおずと聞く剣治に、志郎はニヤリと笑い、机の上から真新しいボトルを取った。 今日のために、志郎が用意した物だ。 「剣治、そっちの壁に手ぇついて」 志郎が指差した壁は、左右に本棚が並び、その間に人一人が優に入れる隙間がある。 剣治はなんの疑いもなく、その隙間に入り、言われるまま壁に手をついた。 少しだけ志郎にお尻を突き出す体勢にされ、剣治は恥ずかしそうに目を泳がせるが、見えるのは当然壁ばかりだ。 バサッと服を脱ぎ捨てた志郎が、また後ろから剣治を優しく抱き締める。 直に触れ合う肌の感触に、剣治の身体がゾクゾクと震えた。 秋の半ばだというのに、どちらの肌も熱く火照っている。 「剣治……少しだけ、我慢しろよ?」 「え……? うひゃあぁ!?」 細くて硬い物をお尻の穴に差し込まれ、剣治は変な声を上げた。 思わず力が入る秘部に、間髪を入れず、にゅるりとした液体が注ぎ込まれる。 「あぁ……なに……?」 初めての感覚に、剣治は身体をプルプルと震わせ、呼吸を荒くする。 「潤滑剤。ちゃんと慣らしてやらねぇと、剣治が辛いだろ?」 事も無げに言った志郎は、ボトルのクダを抜き、代わりに指で剣治のお尻の穴を軽く揉んだ。 「ふぁあ……やあ……」 剣治の身体がビクビクと震え、前にそそり立つモノからは、透明な蜜がタラタラと溢れ出す。 中に注がれた液体が熱を帯びてくると、次第に剣治の呼吸が荒くなり、秘部の入口も取り込むようにヒクヒクと震えだした。 「あぁ……しろ……」 「そろそろ良いか?」 そう呟いた志郎は、入口を撫で回していた指を二本、ゆっくりと中に差し込んでいく。 剣治の身体が歓喜に震え、熱にうかされたような赤い顔で天井を仰ぐ。 志郎は内側を広げるように指を動かし、グルリと円を描いた。 「ひゃあ……あん……掻き回、さないでぇ……」 艶っぽい声を上げる剣治が、キュウッと志郎の指を締め付けてくる。 志郎は喉の奥でクックッと笑い、さらに深く指を差し込む。 指をバラバラに動かしてやれば、クチュクチュと卑猥な水音が上がる。 「あぁん……ふぁ……」 「スゲェ音……」 「やらぁ……言わな、で……あぁっ……」 志郎が指をもう一本差し込むと、ジェルで濡れた内壁は取り込むように、しっとりと絡みつく。 「ひあっ……!」 志郎の指がある一点に触れた時、剣治の身体が大きく跳ね、ひときわ甲高い嬌声を上げた。 志郎はニヤリと笑う。 「ここか……」 「あ……な、何……?」 不安げな声を出す剣治に構わず、志郎は見付けたしこりを執拗に刺激した。 「ふあぁ……やあっ、んん……!」 もう声を抑える余裕なんか無い剣治は、過ぎる快感に涙を流し、ガクガクと身体を震わせる。 ジェルのお蔭か、さらに指を一本増やしても、なんの抵抗も無く迎え入れられた。 計四本の指で、しこりを掻き、内壁を広げ…… つぼみだった剣治の秘部を、柔らかく揉みしだく。 「あぁ、も……ダメぇ……出ちゃ……」 剣治の身体がブルブルと震え、志郎はあっさりと指を抜き取った。 「あん……」 またイく寸前に刺激を止められ、剣治が無意識に恨みがましい声を漏らす。 志郎はクスクス笑いながら剣治を抱き締め、お尻の割れ目に怒張したモノを押し付ける。 「ふあっ……し、志郎……?」 「ククッ……そんなビクつくなよ。剣治にも付いてるだろ?」 悪戯っぽく笑った志郎は、剣治の腰に手を回し、トロトロと蜜が溢れる先端を指で弾く。 「あん……」 可愛い声を漏らす剣治が、プルルッと身体を震わせた。 「剣治……」 剣治の細く硬い髪に頬を擦り付け、軽く腰を引いた志郎は、自身を剣治の股間に滑らせた。 剣治の身体がピクンと震える。 けれど志郎のモノは入口を素通りして、剣治の高ぶりの下から、わずかに先端を覗かせた。 そして志郎は、そのまま腰を前後に揺らし、秘部の入口を擦り上げる。 「あ……ふわ……」 快感に背中を仰け反らした剣治が、喘ぎながらプルプルと震えた。 股間に染み出るジェルが、志郎のモノに擦られて、ズチュズチュと耳を犯す。 剣治の高ぶりがトロトロと蜜を溢れさせ、志郎のモノを濡らしていく。 志郎は剣治の耳元に唇を寄せた。 「まだ素股だぜ? ……そんなに気持ち良いか?」 剣治は熱い息を漏らし、コクコクと頷く。 フッと鼻で笑った志郎は、剣治の腹部に手を滑らせ、片手で乳首を摘まんだ。 もう片手で剣治の高ぶりを握り、ゆっくりと上下に扱いた。 一度に複数を攻められた剣治が、身体を強ばらせ、ブルリと震える。 「あぁ……しろ……ダメぇ……」 剣治がじっとりと汗を掻き、匂い立つ色気に、志郎は生唾を呑み込む。 閉じる事を忘れた剣治の口端から、ツウッとよだれが滴り、志郎の舌がそれをすくい取る。 「っ……しろ……」 剣治の腰が、志郎の動きを追うように、ゆっくりと動き始めた。 志郎は熱い息を漏らす。 「ワリ……俺も、限界……入れて良い?」 剣治がぼんやりとした顔で、コクコクと頷いた。 両手でやんわりと剣治のお尻を掴み、親指でゆっくりと秘部を割り開く。 剣治が、ゴクリと唾を飲んだ。 ゆっくりと息を吐いた志郎は、そっと先端を押し当て、傷付けないようにじわじわと進入させる。 「ふわっ……あっ、あっ……!」 声を上げた剣治のお尻がキュッと締まり、志郎は息を呑んだ。 「剣治……大丈夫、だから……息、吐けよ……」 「しろ……あぁっ……」 志郎が剣治の首筋を舐め、嬌声と共に開いた口の中に、軽く指を差し入れる。 指先で舌を絡め取るように刺激してやれば、荒い呼吸を漏らす剣治の身体が、ゆっくりと弛緩していく。 閉じれない口端から零れる唾液を、志郎はそっと舐め取った。 「良い子だ……」 呟いた志郎が、またじっくりと腰を進め、剣治の内肉を押し広げていく。 「んん……ふっ……んうぅ……」 荒く鼻で息をする剣治が、身体をビクビクと震わせ、痛そうなほど張り詰めた自身から、ボタボタと蜜が滴り床を濡らす。 志郎は熱く息を吐いた。 「全部入ったぞ……痛くないだろ?」 コクコクと頷く剣治の口から指を抜くと、舌先から繋がった銀糸が、音も無くプツンと切れて消える。 「あぁ……しろ、の……熱い……」 とろけるような顔で恍惚と笑う剣治が、志郎の存在を確かめるように、キュッと内壁を締める。 「剣治の中も、熱くて気持ち良いぜ……? 俺のに、ねっとりと絡み付いてきて……すんげぇ、やらしい……」 「えっ、ウソ……! ごめ……」 「ば~か」 慌てる剣治の鼻を、志郎はキュッと摘まんだ。 そっと剣治の耳を舌先でなぞり、志郎は低い声音でその耳に囁く。 「エッチしてんだから、当たり前だろ?」 「うぅ……」 恥ずかしそうに唸った剣治が、お尻に力を入れ、キュウキュウと志郎のモノを締め付ける。 「クゥッ……そんな、スネんなって。ちぎれちまうだろ……?」 「――スネてなんかいませんよ」 そう言いながら、剣治はそっぽを向き、さらに志郎を締め付けた。 息を詰めた志郎は、さりげなく剣治の胸と股間に手を持っていき、同時に乳首と高ぶりを摘まんだ。 「あぁん……やめ……」 「剣治の良いトコ、全部弄ってやっから……機嫌直せよな……?」 片手で剣治の乳首を転がし、もう片手で高ぶりを擦りながら先端を引っ掻く。 快感に喘ぐ剣治は、志郎の手から逃げるように身悶え、壁に爪を立てる。 剣治の首筋に舌を這わせ、身体の力が抜けてくるのを待って、志郎は腰を動かし始めた。 「やあぁっ……! だ、ダぇ……!」 抜けそうになるギリギリまで自身を引き抜き、また奥深くまでゆっくりと突き上げる。 剣治の身体がガクガクと震えた。 志郎はさりげなく剣治の右手を取り、右の棚に押し付けて握り込む。 そしてラストスパートというように、激しく剣治を突き上げた。 剣治の良い所を狙って抉ると、剣治の肉壁がクッと締まる。 「あぁっ……も……出る、出るぅ……!」 剣治の髪が逆立ち始め、限界を知った志郎は、ギラリと目の色を変えた。 (ごめん!) 一瞬で神力を放出した志郎は、魔狼の牙を剥き、剣治の右腕に喰らい付く。 「ギャアアアアァァァァアッ!!」 剣治が悲痛な声で絶叫し、弓なりに背を反らせて白濁を撒き散らす。 剣治の髪が瞬く間に火の色に染まり、動揺を表すようにざわざわとうねる。 きっと剣治は、フェンリルに腕を食いちぎられた時の事を、思い出しているだろう。 衝撃に目を見開いた剣治が、口から「ア……ア……」と言葉にならない声を漏らして、身体を痙攣させている。 噛み付いたまま離さない志郎は、本棚に隠していたペンダントを取り出し、軽く剣治の額に当てた。 瞳の焦点が合わない剣治は、ひし形を四つ繋いだ十字形のペンダントに気付かない。 志郎はそっと剣治の腕から牙を抜いた。 「『忘れろ』」 志郎が短く命じると、ひし形を繋ぐ中心の石が、まばゆい光を放ちだす。 その光が大きくなるに連れて、剣治の目が光を失っていった。 「し……ろ……」 掠れる声で呟いた剣治は、そのまま意識を手放し、ぐったりと志郎の腕に身体を預けた。 完全に剣治の体から力が抜けた後、志郎は右腕に付けた牙の痕から流れる血を、丁寧に舐め取る。 これで、傷付けるのは最後だから…… 志郎は苦しみを噛み締めるように歯を食い縛り、静かに涙を流した。 「……さよなら……剣治――」 最後の別れを告げた志郎は、剣治を裸のままベッドに運び、そっと横たえる。 そして、あらかじめベッドの下に何枚も隠しておいたタオルで、その体を綺麗に拭いてやった。 魔術が効いている剣治は、意識を失っていても、炎のように逆立つ赤い髪のままだ。 その額に、優人の作った十字のペンダントを乗せてやる。 そして股間を隠すように新しいタオルを掛けてやり、志郎は自分の腰にもタオルを巻き付けた。 剣治の白濁に濡れた壁や本棚は、適当にタオルで拭き取り、使ったタオルを山と重ねて隠す。 全ての準備を整え、ゆっくりと深呼吸をした志郎は、別室で待つ優人に携帯で電話をかける。 「父上……こっちの準備は、全て終わりました。――もう、始めてください」   ☆   ★   ☆

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