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第8話

     斑鳩月雲は造血鬼の始祖の先祖返りとされている個であり、すべての造血鬼を統べる個であった。  髪色、瞳、性、身体的特徴、記録に残されていた始祖と同じものをもって産まれた月雲は「始祖の再来」とされ始祖と同じ名をつけられた。斑鳩のものたちは月雲を造血鬼の長とし、当主または御前と呼び敬い崇めた。  斑鳩の次に造血鬼の血が濃い伽藍は造血鬼が産まれる度に月雲に目通りをし、祝福を授かっていた。  事務的にただ機械のように形だけの祝福を与えていた月雲はただひとつ、彩入にだけは興味を示した。  椅子から転げ落ちるように降り、母親に抱かれすよすよと眠る彩入に見入った。 「――この子、わたしにちょうだい?」  月雲が望むことは叶えられる。月雲はいつものように強請った。しかし彩入の両親はそれに否と応えた。 「申し訳ございません。いくら御前の望みとあれど、この子は大事な子でございます故に、御前に差し上げることはできませぬ。ご容赦ください」  断られると思っていなかった月雲は瞠目して固まり、彩入の母親の顔を凝視した。「どうしても?」と問えば母親は深く頷いた。  月雲は思案し、再び彩入の顔を見つめた。 「……じゃあ、たくさん遊びにこさせて。それぐらいはいいでしょう?」  月雲の提案に、両親は今度は是と応えた。 * * * * 「っあ、だめ、あ――……っ」  たん、たん、と緩く奥を叩かれる。 「んふふふふ、きもちいね? あいり。あいりのここは、ほんとうにきもちいよ」  約一〇〇年振りに貫かれたそこは、あまり前戯をされておらず、痛みの方が強かった。  この行為は彩入の初潮とともに始まった。  彩入の初潮は月雲と一緒にいるときだった。彩入の股から血の匂いがすると月雲が指摘し、それで発覚した。  やっときたんだね、と月雲は笑いながら彩入のそこを弄り、両の手を真っ赤に染めていた。  興奮したように、恍惚と息を吐き、着物の合わせの間から男性器を取り出した月雲は染め上げた手のままでそれを扱いた。オスとメスの役割をその時点で知っていた彩入は青ざめ、やめろと叫んだ。だが月雲は彩入の叫びと抵抗をねじ伏せ、初潮を迎えたばかりの女性器に男性器をねじ込んだのだった。  だいじょうぶだよ、子はできないから安心して。わたしのこれはただの “棒” だから。  痛いと泣き叫ぶ彩入を宥めるように頬を撫で、月雲は笑いながら腰を振った。  月雲の男性器は月雲の言う通り、“ただの棒” だった。月雲には睾丸がなく、ぶらりとぶら下がるそれは勃起はするものの、不浄に使う以外ほぼ飾り物であった。だが月雲には彩入同様女性器が存在し、それは機能していた。  月雲は始祖と同じく造血鬼のオスを伴侶とし子を成さなければならない。そう定められており、月雲の自由は与えられた部屋の中にしか存在せず、月雲が自由にできるのは彩入だけだった。 「ねえ、あいり。あいりはもう聞いた? ――わたし、伴侶ができたんだよ。あいりが来なかった間に、わたし、子を産んだんだよ」  オスと、メス、ひとつずつ、うんだんだよ。  ゆるゆると揺すられる中、遠く聞こえる月雲の言葉を理解するのに時間を有した。 「……ぁ……っ? こ……? あ゛ぁっ……」 「そう、子だよ。産んだんだ。からだを開かれて、貫かれて、揺すられて、突かれて、出されて、そして、できちゃったんだ」  上体を倒し彩入の頭の両側に肘をついた月雲は光のない瞳で「痛かった」と呟く。 「痛かった、とても。あいりもあのとき、痛かった? ごめんねえ、……あんなに痛いとは思わなかったよ」  再び身体を起した月雲は彩入の膝うらに手をいれて彩入の胸につきそうなほど押し上げる。 「でも、今はきもちいでしょう? もっと、きもちよくなろうね。――ねえ? あいり」  にやぁ、と嗤う月雲は深く腰を押し付けた。    

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