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第12話
“あれ” は元々、「緋采」と名付けられるはずだった。
母とともに “それ” が考えた名で、“それ” はその名をまだ腹の中にいる “あれ” に何度も呼び続けていた。
「緋采、緋采。はやくうまれてきて。ぼくの可愛い緋采」
種違いではあるが、同じ腹から産まれるその個を、“それ” は誰よりも望んでいた。
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