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第18話
阿呆ですか。
自分の置かれた状況を、自分で整理して、オレは自己嫌悪でしょんぼりする。
朝ですよ。
さわやかに朝だってーの。
要さんに起こされて、ホテルをチェックアウトした。
現在、要さんの運転する車の助手席に納まっております。
今から要さんの家に行って俺の荷物を置いて、モーニングとってから出社の予定です。
一応、要さんが山内さんを撃退したとはいえ、まだ山内さんの出方がわからないので、念のために、オレは要さんのところに居候するのだそうです。
オレが寝こけている間に、要さんがいろいろと手を回してくれてた。
嬉しくて情けなくて、損した気分で、オレはしょんぼり中。
呼び方や、呑みに行く約束のひとつ、一挙手一投足、気になってどうしようもない人と気持ちが通じて、ベッドの上だったていうのに!
そんな美味しいシチュエーションだったというのに!
いくらヨレヨレだったからって、よしよしと抱っこで寝かしつけられて、気がついたら朝って、成人男子としてどうですかっ?!
色々と迷惑かけた。
たくさんオレのために考えてくれた。
なのに、オレが主に考えちゃうのはそんなことばっかりで、どんだけ浮かれてるんだよって、セルフ突っ込みもしちゃうよね。
阿呆ですか?
ねえ、オレ、ただの阿呆?
「なっちゃんの寝顔がかわいくて、ついうっかり愛でちゃったんだよね……気がついたら、俺も寝ちゃってて。ごめんね。そんな拗ねないでくれると嬉しいな」
要さんはすごくきらっきらの笑顔で、ハンドルを握りながらそう言った。
「拗ねてないです」
「じゃあ怒ってる?」
「自分に」
「なんで?」
「情けなくて、自己嫌悪中です」
そう言ったら、要さんはぶふって噴き出した。
笑わなくてもいいのに。
むうってしてたら、赤信号でひっかかった時に、くしゃって髪に触ってくれた。
「なっちゃんは自分に厳しいんだよねえ」
「だって」
「うん、いいよ。その分、俺がなっちゃん甘やかすから」
要さんは楽しそうにそういうけど、言っていることがよくわからなくて、首を傾げた。
ポンポン、とオレの頭を撫でて、要さんは両手でハンドルを握る。
「あとで、長友から詳しい説明があるけど、今日からなっちゃんに頑張ってもらわないといけないんだ」
「はい」
「ホントはさあ、俺もやっと思いが通じたわけだから、このままバックレてあれやこれやいろいろエロエロとしたいわけなんだけどね」
「ほえ?」
今、要さんが変なこと言った。
耳の中、通過してった。
まじまじと顔を眺める。
要さん、昨日からホントに時々、ノーミソ溶けてそうなこと口走ってるんだけど。
「お互い大人だし、節度とけじめは必要ってことだよね。あと、多分、長友のいうこと聞いた方が、なっちゃんの気が楽になると思うので、俺が折れました」
「はあ」
「だから、山越えたらご褒美ちょうだいね」
「ご褒美?」
「うん。キリがつくまではキスだけで我慢するからさ、落ち着いたら、なっちゃんと最後までしたい」
ぎゃ~!
嬉しいけど!
そんなの、ご褒美とか言わずに、すぐにでもって気分なんだけどっ
要さんが壊れた!
ぼぼぼって、顔が赤くなったのが、自分でもわかってひゃ~ってなった。
横目でオレを見た要さんが、笑って言った。
「なっちゃんまっかっか! ああ、ホントにかわいいなあ~」
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