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第9話

 スマートフォンの画面に『西村悠二』と表示が出るのに、西村は驚くのを抑えて、メッセージに出た画面をタップする。 「1日前に俺にメッセージを送ってくれたら、その弁当を作って、西村さん以外には売らないようにしますね」  と、お互いに連絡できるように情報を交換し、悠二と別れた西村は木曜日には連絡しようと思ったが、何となくズルをしているようでもあり、それに弁当の名前だけを書くのが良いのか、挨拶くらい書いても良いのか、戸惑われた。  そんな思い悩んでいた西村に対して、悠二は文面でもやはりさっぱりとしていた。 『すぐ○×ホテル前に来て欲しい』  ○×ホテルというのは西村の会社から5分程、駅の方へ向かって歩くと、見えてくるホテルだ。西村も仕事で道案内の目印にしたり、車も比較的停めやすいことから公私問わず、待ち合わせをしたりするのに使っている。 「とりあえず行ってみようかな」 悠二が指定した『すぐ』にも間に合いそうだった。

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