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ロマンス・トライアングル・リクルーター!

「え?俺……いや私が面接官?」 「二人の時は俺でいいぞ。時間があったらの話だが、今日は何件営業があるんだ?」 「いえ、新規の見積もりを数件作るだけですね。事務作業なので大丈夫ですけど……なんでまた俺なんです?」 翌日、鶴来から面接に参加してみないかと誘われたときは本当に驚いた。ただの営業員である自分がまさか誘われるだなんて思ってもいなかった。 このたび担当地域を拡大するにあたって、新たに営業員の募集を複数名かけている。 大卒から既卒まで、キャリア育成のために三十五歳以下なら未経験を対象とした求人を出している。 年齢条件は厳しめながらも、保険仲介業者である我が社は生命保険を主に、車両保険や火災保険、幅広い保険を取り扱っている。 七年以内の上場を目指し、年々資本金を増やしていてそこそこ立派な会社だ。福利厚生もしっかりしていて、有給消化率も高い。保険という専門商品は慣れるのに時間はかかるが、慣れてしまえばやりがいもあるし勉強にもなる。 だから新入社員が入ってくる分には大歓迎だったが、それは直属の上司である営業部長が担当するべきだ。 「営業部長はどうしても外せない案件があるらしくてな」 「だったらほかの役職とか、総務部の社員とかでも」 「役職は全員俺に一任すると言っているし、総務部は何故かみんな今日は手が空かないらしい。そんなに仕事を回しているつもりはなかったが、全員が声を揃えるのだから仕方がない」 多分、鶴来面接官の恐ろしさに気づいているからですよ。 そう進言しようとしたが、気づいてしまった鶴来がその後フレンドリーになって、女子社員に取り囲まれてしまったら凄く嫌なので口を噤む。敵は増やさないのが身のためだ。ビジュアル的に鶴来は整っている部類に入ると信じて疑わないは用心深い。 「お前も営業員の一員だ。自分の後輩がどんな人間になるのかを、違った視点でしっかりとみておいた方がこれからのキャリアにも繋がるだろう。興味があるならでいいのだけれど……」 「是非!参加させてください!」 「元気がいいな。じゃあ昼の二時からまた面接者が一人来るから、飯は済ませておいてくれ」 敬愛してやまない鶴来の仕事ぶりがまた間近で見られるチャンスを、泉が易々と逃すわけもなかった。去っていく後ろ姿からはエリート臭が漂ってきそうだ。鶴来は残り香さえもかぐわしい。

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