14 / 25

ロマンス・トライアングル・リクルーター!

「プライベートと仕事は分ける方ですか?あとうちは飲み会が多いですが、そういった場も大丈夫で?」 何とも言えない質問だと泉は素直に思った。どちらに転んでも怪しい雰囲気がある。 プライベートと仕事は勿論分けた方がいい。 遊びの延長戦で仕事をされては周りの社員がたまらない。だが仕事の飲み会や懇親会など仕事とはまた違ったラフな催し事での身の振り分けラインが曖昧になってしまう時があった。 この質問ではまじめに仕事に取り組めるのか、またはプライベート重視の働き方をしたいのかが問われている。 飲み会の話題も同時に振ることにより、それを明確に区別しようとしているのだろう。 飲み会は部下が楽しく飲むのではなく、上司にいかに美味い酒を飲んでもらうのかが重要だ。 肩の力を抜いて楽しめと言われても飲みニケーションという言葉が生まれるほどに、交流を求められる。 上司のグラスが空いていたらすかさず追加注文をし、時には熱燗の焼酎を作って火傷をしかけたり、泉も飲み会に関してはあまりいい思い出がない。鶴来の近くに吸われなかったら絶望でしかなかった。 「そりゃ分けますよ!でも昔サッカーの試合前に飲み過ぎて動けなくなった時がありましてー、そうならないように頑張ります!あ、俺お酒強いんで大丈夫です!ちゃんぽんなんのその!」 「そうなんですか。酔いつぶれたりはしないんですか?」 「なかなかないっすねー。むしろ周りから先に寝ていく的な?あ、えーっとツル……ツルミさんでしたっけ?はお酒強いんすか?」 「……そうですか」 「なんでちょっと残念そうなんですか鶴来さん!あ、この人は鶴来(つるぎ)さんです!ツルミじゃない!」 「山崎さん、私はあまり強い方ではないので酔いつぶれたら介抱してくれますか?」 「もちっすよ!やり慣れてるんで任せてください!ツルキさん!」 「鶴来だって言ってんだろ!」

ともだちにシェアしよう!