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ロマンス・トライアングル・リクルーター!

「サッカー部時代の、何に、力を注いだんですか?もっと具体的に教えてください」 主導権を奪い取る形で申し訳ないが、強引に山崎との会話に滑り込んだ。 隣から鶴来からの熱い視線を感じるが決して振り返ることはしない。 今の鶴来は疲労で正常な判断ができなくなっている。こんな面接練習自己分析企業研究もろくにせずノリとテンションだけで乗り込んできたような奴を、まともに相手にする企業がどこにいる。 ド素人ながらもサポートできることはやろう。 泉は履歴書の写真と山崎を何度も見比べる。どっちも同じような笑顔を浮かべていた。もう完全に憎たらしい。お疲れの鶴来を無茶苦茶に振り回しているこの面接者が。どう粗を探してやろうか。 突っ込んだ泉からの質問に、山崎は腕を組んで唸る。鼻を鳴らしてやりたくなった。これしきの追い込みで黙るようじゃ、まだまだだな。ガクチカもまともに答えられないようじゃ、先が思いやられる。泉は腹の底が真っ黒な男だった。 勝ち誇った顔を何とか寸前で抑えながら、面白すぎて肩が震えているような性格の持ち主に、山崎はくったくのない微笑みを向ける。 「団結力を高めるためにやっぱり一人一人の個性を把握する事っすかね。俺はサッカー部で全国を目指してたんですよ。やっぱ上を目指さなきゃ面白くねーんで。サッカーって一人じゃできないもんで、全員が一つのボールを追いかけるチームプレーが大事だと思うんす。そのためには積極的に交流したり会話したり、考えを交換したり、そういう場を何度も開くことによって相互理解?を図ってましたー」 「……ありがとうございます」 何だよまともに答えられんなら最初からそうしとけよ! 意地の悪い気持ちがどんどんしぼんでいく。 舌を口内で鳴らした泉の隣で、鶴来が何度もうなずいている。とことん面白くない。 「まっでも飲み会っすかねやっぱ!!飲みニケーション!毎週金と土はお気にの居酒屋とバーでパーリナイ!!イエイ!あ、まって月と水もそうだった気がする」 「休肝日作ったらどうですか!?」

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