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ロマンス・トライアングル・リクルーター!

「では貴方が弊社に入社した際、どのような形で貢献できますか?」 入社させる気なんて更々ないけどな。 口の中で言葉尻をかみ砕き、泉は山崎をにらむように見つめた。 未経験や新社会人だとしても、早く活躍してくれるならそれが一番であり、それなりの立場でそれなりの成果をあげてほしいと会社は思っている。だからこそ客観的に自分のスキルを鑑みて、会社に入社した後どのような面で活躍できるのか。 基本的には履歴書の志望動機とセットで書かれるものだが、本音で書いてあるのかどうかを試すために改めて泉はこの設問を持ち出した。 「うーん。どうなんっすかねぇ。サッカーのやり方とかなら教えられるんすけど……やっぱり最初は皆ド素人なんで挨拶とかならめっちゃ得意!」 「中学生じゃないんだからもっと建設的な事をお願いします」 とんとんとボールペンで机をたたいて山崎を急かす。 腕を組んで首をかしげてしまった山崎を見て、泉は誰にも見られない位置で口角を釣り上げた。 面接で言葉に詰まってしまうのはマイナスポイントではないが、プラスでもない。 考えていないことを不意に尋ねられれば固まってしまうのが人間だが、こういった場面では言葉を巧みに築き上げるのは難しい。ごちゃごちゃと纏まらないPRほど心に響かないものもない。落ち着いて冷静に無難なワードで凌げれば御の字だが、何も考えず生きているであろう彼にはちょっと厳しいものだったかな。 「貴方ならだれとでもすぐに仲良くなれそうだ。例えば親戚の方などにも可愛がられていたでしょう」 泉の腹が真っ黒に染まりつつある頃、静観していた鶴来が履歴書に素早く目を通す。 「そうっすねよくホストとか進められて……あ、営業先のオバちゃんとかでもならすぐ仲良くなれると思います!」 「営業にとって一番大切なスキルをお持ちのようだ。やはり顧客との距離を縮める事こそが営業の本質であり、必須のコミュニケーション能力。泉、お前もそう思うだろ」 「それも大切ですけどいま鶴来さん助け船出しませんでした?山崎さんと組んでません?」 「私は公平な立場から思った事を口にしただけだ。決して彼が困っていて母性本能がくすぐらられたから、ついヘルプを出すだなんてそんな真似はしない」 「鶴来さん……本当になんて貴方は慈悲深いんだ……」 泉も泉で盲目的である。

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