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ロマンス・トライアングル・リクルーター!
「では弊社以外に応募されている企業はありますか?」
これも絶妙に答えづらい問答だ。設問者本人の泉もこれを聞かれたら少し困る。
就活生は当然複数社応募していて、並行して動き回っている。
一つだけに絞って念入りに下準備をするのが駄目な訳ではない。希望している企業に不採用を叩きつけられてしまえばまた手間がかかるため、エントリーシートを何十枚も書く就活生が多数だろう。
別に何社でも応募しても構わない。この質問は、自社が何番目の希望動機なのかを聞きたいがために尋ねられる。
また応募している企業に統一性があるのかも重要だ。保険業界の営業職を志しているのに食品業界の事務職を志望しているなら、この人は何処でもいいんだなと思われてしまう場合がある。ここは素直に何社受けているのかを口にして、あとはオブラートに包んで軽く受け流すのが吉だ。
「いやここだけっす」
「本当ですか?正直に言ってもらって構いませんよ?」
この時の泉は、のちに鶴来に人の悪い顔をしていたと報告される程に輝いていた。
「マジでここだけなんで」
「またまたぁ。どうせそんなこと言ってたくさん受けてるんでしょ。合否の有無は置いといて」
「面接も書類も初めて通ったのがここです。俺の就活バージン全部ささげたんで」
「バージンとかそろそろ本当の事……え?まじで?」
「マジのマジ」
「えーと今年度卒業だよね?なのにこの時期に?一社だけ?なにやってんの?なにやってたのむしろ?」
「俺、本命にしか興味ないんでー」
「奇遇ですね私も本命にしか一切興味がなくて一途なんですよこれでも弊社が第一志望ということなので第一志望の弊社で本命を是非見つけて頂ければなと思いますし私も本命に一途」
「こんな早口な鶴来さん初めて見た……」
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